太 宰 幹 部 の 包 帯 事 情 ２【太宰治】

カルテ４６枚目【異変】 ページ12

『本題………ねぇ。そんなのいらないから、さっさとお茶飲んだら帰って欲しいな』





「君のことを君の前で言わずして何になるのだね？」






こういう正論を言って来るところは合わないって、いつも思う。だが、それがあって今の関係があるのかもしれないが。
僕のこと、といえば最近近づきを見せる、あれくらいだ。
僕の一番話したくないこと。聞きたくもないこと。






「後、どれぐらいだい？」





『もう、二週間くらいです』





「嘘はやめなさい。もっと近いはずだ」





『…………………三日』





鴎外がそうやって聞くからなんか気分が悪くなってきた。頭がぐるぐるして来る。
鴎外が、僕の隣に移って何かのために備えている。






『あと、三日。それまでに準備はできるよね』




「もう始めている」




『流石………っ』





ここまできて、なんとなく息が切れ始めた。あれ、もう来たかな。………まだ、か。
息が切れて、急にふらつく。
足りないと騒ぐものがある。
足りない、足りない。




《嫌だ！やめてよ！！》




《あんたも助けるって言ってるの！！》





《…………なんで…》






『はぁっ、ひっ、ぁ……はぁ、っ』





嫌なことを思い出してきた。
やめろ、抑えつけろ。もう昔のことだ。いつまでも縛られててどうする。
だめだ。




「三日も持たないだろう。仕方ない。明日にでも移動できるようにしておくよ。いいね？」





『いいっ、三日くらい、大丈夫』




「その感じだと一週間くらい。抑えるのは無理だ」





『抑えてみせる、だから………はぁっ』





鴎外が僕をにらんだ。それはそれは怖い目で。
鴎外がこの顔をするときは……従わなきゃいけない。自分の異能すら制御できないなんて、とんだ、馬鹿……だ…。






「もう考えないほうがいい。今は休みなさい」




『…………………ん』






返事もうまくできないまま、意識を闇に落とした。その先に見た夢は、あんまり思い出せないけど、とても嫌で思わず叫んでしまいそうだったのだけは覚えている。





悪夢から救ってくれる人がいない。






まだ、いない。

カルテ４７枚目【任務】→←カルテ４５枚目【特権】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す