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翌日、朱桜家の屋敷にて。
私はお義父さんと向かい合い、プロデュース科に転科する意志を伝え、「 お願い致します 」と頭を下げていた。
お義父さんはまるで自分のことのように喜び、早速 転科の手続きをしよう、とノートパソコンやらスマホやら電子機器を鼻唄を歌いながら叩きはじめる。
「 けれど、どうして転科を決めてくれたんだい? こう言っちゃなんだけど、Aには断られると思っていたよ 」
「 …私も、聞いた時は断ろうと思っていました。けれど、そんな私の心を動かすくらいの人が、そこにいるんです 」
脳裏に浮かぶレオくんの姿についクスッと笑い、今日もつけてきているバレッタに触れた。
「 それは…是非会ってみたいものだね。何にせよ、私はとても嬉しいよ。早速 手続きの書類を…明日には郵送でつくだろう。それから、普通科の方にも連絡は入れておく。色々、挨拶もあるだろうからね 」
「 そう、ですね 」
交友関係はそれほど広い方ではなかったけど、部活動にはかなり力を入れていたから、皆には迷惑をかけてしまう。
いきなり放ったらかしにするなんて無責任だ、なんて怒られちゃうかな。
「 このことは、司には? 」
「 まだ言っていません。今日伝えようと思って…。いますか? 」
「 卒業式も終えて時間はありあまっている。最近は書庫に篭っているから、そこじゃないかな? 」
最後にもう一度 頭を下げてから、私は司がいるであろう書庫へと向かった。
壁一面に本棚が敷きつめらているそこは、中央の螺旋階段を上がればさらに多くの本が保管されている部屋へと繋がっている。
薄暗くだだっ広いけど、探し人はすぐに見つかった。
「 司 」
名前を呼ぶと、本から顔を上げた司の唇が「 A 」と動く。
「 ちょっといいかな 」
「 はい。どうかしましたか? 」
パタンと閉じられた本の表紙には、大きく『 踊れない音楽はない! 』と書かれた帯がついていて、相変わらず朱桜家の取り扱うジャンルは幅広いなと関心する。
「 私、プロデュース科に行くことにした 」
「 っ!! 」
「 本気だから。……お互い頑張ろうね 」
余程驚いたのか、バサリと音を立てて本が床に落ちた。
拾おうと手を伸ばしたけれど、司に手首を掴まれてしまい、本はそのまま放置されてしまう。
「 司? 」
……返事はない。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます! 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです!更新頑張って下さい!! (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリ | 作成日時:2021年9月23日 4時