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バケツをひっくりかえしたような、なんてありきたりな表現だが、それくらいの大雨。
天気予報では晴れだったから恐らく通り雨だろうけど、当然 傘なんて持ち合わせているはずもなく、私は慌てて近くの公園の遊具の中に潜り込んだ。
「 もう〜。ほんとついてない 」
雨でびしゃびしゃになった制服を絞ると、大量の水が地面にシミを作っていく。
早くお風呂に入ってあったかいココアが飲みたいな。
「 かなり降ってきたな… 」
勢いを増す雨にため息をつき、なんとなく遊具から外を覗いてみると、誰かがブランコに座っている。
大雨で視界は悪いけど、確かに誰かが座っていて、その周りには何か紙切れのようなものが沢山 落ちている。
泥にまみれて使い物にならなくなったであろうそれらに目もくれず、その人はただ天を仰いでいた。
「 風邪引くよ 」
外に出て、その人の前にしゃがんで視線を合わせた。
冷たい雨が容赦なく打ち付けるけど、そんなことは気にならなかった。
オレンジ色の髪の男の子は少し小柄で、年齢は私と変わらないくらいにみえる。
「 …… 」
男の子は空に向けていた視線を下ろすと、ようやく私の存在を認識する。
パクパクと唇がなにか言葉を紡ごうとするが、やがて閉口して再び空を見上げてしまった。
地面に視線をやると、あの紙切れはどうやら五線譜だったようで、音符が殴り書きされている。
そのどれもが途中で途切れており、最後まで曲として完成されたものはないようにみえる。
「 帰りましょう。おうちまで送るから 」
「 … 」
「 立てる？ はい 」
男の子の手を半ば無理矢理 とって立ち上がらせると、地を踏みしめる気力もないのか、ふらりと前のめりに倒れ込む。
私に寄りかかった華奢な肩を支えると、小刻みに震えていることが分かる。
雨が降り始めたのはつい先程とはいえ、一体どれだけの時間 外にいたんだろう。
「 おうちはどこ？ 」
「 …… 」
声が出せないとか、耳が聞こえないとか、そういうことではないと思うけど、彼は話してくれない。
「 近くに、私の家があるの。お風呂、入りましょう？ 」
それにも返事はなかったけど、手を繋いで歩き出せば、彼はゆっくりとした足取りでついてきた。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
