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「 …少し、考えさせてください 」

「 …そこまで時間をあげることは出来ないよ。遅くても春休みに入ったあたりには返事を貰いたいね 」

「 はい 」





話は終わったはずだ。

お義父さんに背を向けて外へ出ようと足を進めると、優しく、それでいて悲しい声色で名前を呼ばれた。





「 私に君の将来を決める権利はない。けれど、君のためにも是非 検討してもらいたい。これは強制ではなく、私個人の願いだよ 」

「 ……失礼します 」





振り向きはせず、部屋を出る。

先程と同じように頭を下げる使用人の傍らを通り過ぎ、長い階段を下り、庭を抜け、門の前まで来たところで、パタパタと足音が聞こえてきた。

その音の主が誰かなんて分かりきっていたので、「 どうしたの? 」と前を向いたまま問いかけた。





「 お父様の言っていることは突拍子もないですし、滅茶苦茶だと思います 」

「 うん 」

「 けど、司は、私は…。Aに来てほしい 」

「 それはどうして? 」

「 そ、れは…。私がIdolになったその時には、AにProduceしていただきたいから! 」





振り向くと、白い肌に一筋だけ汗を光らせている司。

今の言葉に嘘偽りはないのだろうけど、それが本当の理由ではないことくらい、私には分かる。





「 ねぇ司、もういいんだよ。無理して私の面倒 見なくて 」

「 …何を言ってるんですか? 」

「 私が一人暮らししたいってこぼした時、あったよね。そのためには家が必要だって、お義父さんにお願いしたのは司でしょう? 」





流れる沈黙を肯定とみなし、続ける。





「 両親が死んだのは、司のせいじゃな、 」

「 やめてくださいっ!!! 」





鼓膜を突き刺すほどの悲痛な叫びに、思わず口を閉ざした。

真紅の髪が顔を覆っていて表情は伺えないが、ぽたぽたと滴る雫が地面に染みを作っていくのを見て、あぁ、泣いているんだなと理解する。





「 その言葉を何度かけられたかなどもう覚えていません。けれど、私は私を許せません 」

「 司 」

「 いいじゃないですか理由なんて。私がStageに立つその時を、Aに見てもらいたい。それではいけませんか 」





頬に手を添えて、瞳に溜まる涙をそっと拭ってやる。





「 いつも見守ってくれてありがとう 」





アイドルのプロデュースは生半可な気持ちで務まるものではない。

まずはしっかり、考えよう。





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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます! 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです!更新頑張って下さい!! (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリ | 作成日時:2021年9月23日 4時

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