マフィアのズボンを下げてしまった。【skt】

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「おい坂田っ！」


風呂やトイレもついているから絶対に部屋から出るなとAちゃんに伝え廊下に戻ると、機嫌の悪さが天元突破したうらたさんの声が響いた。何事かと思う間もなく、ずんずんと間合いを詰めて来た彼にいわゆる壁ドンとやらをかまされる。あいにく全然ときめかない。なんなら壁どかん！なってるし。


「ちょい近いんやけどどしたん？」

「どしたんじゃねえよ！あれだけ警戒しろっつってこのザマかよほんっとなぁ…」


バシン、と洒落たカードを突き付けられる。近い近い読めへんわ。ぷんすかしてるうらさんに背を向けて、硬めの素材でできたカードに目をやる。まあ嫌な予感はしてた。




Dear Sir 緑赤
指輪の件は把握した
お相手方への口止め料を所望する
紫黄 Very truly yours




紫黄か〜。うわー嫌やー。意志の強そうなアメシストとはんなりしたトパーズの瞳が頭に浮かぶ。げんなりしたと言うべきか、心の天候が悪くなってきたような気分になった。


「これどこから漏れたんだ？エレベーター同行してた奴らは、問い詰めたけどシロ」

「ん〜じゃああの女やな。見張りに立たせとったヤツ。事情説明しちゃってん」

「そういうとこだぞおまえ」


うらたさんはチッと舌打ちして「お前行けよ紫黄の本拠。当事者が行った方が手っ取り早い」って指示を出したかと思うとすぐにどっか行ってしまった。見張りに立たせた女、おそらく紫黄のスパイをとっ捕まえにいくという。

紫黄の本拠地か、嫌やなぁ〜。幹部はおもしろいから好きだけど、下っ端の人たちが纏ってる狐みたいにいやらしい雰囲気がちょっと苦手だった。でも婚約候補の相手方にバレるのはさらに嫌なことになる、っていうのはなんとなくわかる。

俺らマフィア幹部の婚約の相手は主にやくざとか極道とか、いわゆるジャパニーズマフィアのお嬢様。まあ戦略結婚というやつだ。緑赤や紫黄の海外系マフィアは政府や企業を動かすのは得意だけど、一般家庭とか地域団体は苦手。こういう細かいヤツの管理はやくざや極道、大きいヤツはマフィア、って感じで分担するとかしないとか。特に緑赤は規模がでかすぎて、わざわざ力無いヤツらのためにあーだこーだする方が手間取るらしい。知らんけど。


(俺が留守のあいだ、Aちゃん大丈夫やんな？)


これがちょっと心配だった。うらたさんはいいとして、血の気盛りなの多いからなぁ。

出発前に一度部屋寄ってこ。

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