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マフィアの客間こわい。


坂田さんが出ていったあと、私はとりあえず部屋を散策してみることにした。拉致られた身分としては吞気すぎる気もするが、何かしてないと悪い方向ばかりに考えが行ってしまってやりきれないのだ。

鬱々とした気分でベッドのすぐ横にあったロココ調のクロゼットを開いてみる。驚いたことに、色々なテイストの服がずらりと並んでいた。ほとんどレディースだから、女性用の客間なのかもしれないな。

その後見た洗面所は高級ブランドの化粧品で溢れていて、浴室は実家の私の部屋と同じくらい広々としていた。冷蔵庫には天然水や思わず写真が撮りたくなるデトックスウォーター。そういやスマホどうなったんだろ。奪われてるよね…。


命に危険がないなら、少しの間なら。ここで過ごすのもいいかもしれないな、最近友人関係でちょっと悩んでたし。なんて甘ったれた考えがふとよぎって、慌てて頭を振った。


「Aちゃん〜?着替えた?」


なんの前触れもなく坂田さんが現れたかと思うと、私の服装をみて目を輝かせた。…そうなんです。先程の坂田さんに着ろとせがまれた赤基調のラフな服。なんかノリで着てしまったんだけどちょっと坂田さん見すぎじゃないですか!?


「あ、あまりじろじろ見ないで頂けると…」

「別にええやん。似合っとるで」


笑顔で褒められて少しどきりとした自分に戸惑って、「それなんですか」と話をそらした。坂田さんはなぜだか、血のように真っ赤なバラの花束を抱えていたのだ。マフィアという職業柄かすごい雰囲気合ってる。


「あ〜これ婚約者候補に貰てん。バラ十四本やから『誇りに思う』って意味で、私を候補にお選び頂き誇りに思いますとか言っとったなぁ」

「そんな大事なもの…どうするんですか、それ」

「Aちゃんにあげる。緑赤の拠点って時計あらへんから、捕虜は寝る前にバラ一本花瓶に挿して経過日数はかるのが伝統やねん」


体内時計って便利やで、とにこやかに差し出されたからには受け取らないわけにもいかず、お礼を言って花束をまじまじと見つめた。贈り物なのでトゲは処理されている。十四本ってことは、全てのバラを花瓶に挿したら二週間。その後は、わからないんだっけ。

もしかしたら、私が生きていられる日数と同じ数かもしれない。そう考えるとこの毒々しい花束を投げ捨てたいような気もした。


「あ、俺三日くらい出張してくるから、絶対部屋から出んといてな」


不安だ、と思う自分がわからなかった。

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ろんでるで(プロフ) - 愛河Ayaさん» コメントありがとうございます〜!書き方は少々工夫しているので、そう仰って頂き光栄です。応援ありがとうございます! (2022年1月16日 11時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
愛河Aya - 書き方が好みなのとお話やパロがすごく好きです!更新頑張ってください!応援してます! (2022年1月15日 23時) (レス) id: 46595dc54d (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - ハツル氏さん» コメントありがとうございます〜!更新頑張りますね。応援ありがとうございます! (2022年1月8日 0時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - 凛月花さん» コメントありがとうございます〜!描写や構成は力を入れた部分なので、お褒めいただき嬉しい限りです。前作に続きお読みくださりありがとうございます! (2022年1月7日 23時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ハツル氏 - いつも応援してます!更新頑張ってください! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 5982f92ed4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろんでるで | 作成日時:2022年1月6日 18時

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