03 ページ3
．
驚いて振り向くと、そこに居たのは見慣れない兵士だった。
「お一人でどうされました？A様」
見れば、おそらく新しく入ったばかりの兵士だろうと思ったが、それにしては年齢がかなり上な気がする。
『私はいつも城内を散歩してるんです。貴方はここで何を？』
「そうですか…いやはや私も今仕事が休憩に入りましてね。城内を見て回ろうと思い…何せ新人ですから。すると偶然にもA様を見かけまして」
『ご苦労様です。新人さんなら覚えることがたくさんですね…頑張ってください』
純粋な気持ちでそう言って笑うと、兵士の様子が何処か可笑しいことに気付いた。
「は……我慢しようと思ったけど無理だ…目の前で見ると堪らないな……」
何かをぼそぼそと呟き、息が荒くなった兵士を不審に思っていると、兵士が1歩、近付いてきた。
「すみません…私、いつも貴女を見てました…城の窓から街を見下ろす貴女に一目惚れして、私はこの歳ながらも若造に混じって国王軍の試験に挑みました。無事通った時は人生で1番喜びましたねえ…だってこうしてA様を近くで拝めるのですよ？こんな幸せあっていいんだろうか……」
にやりと笑ってこちらに近付いてくる老兵に、不快感と恐怖を感じて私は距離を取る。が、すぐに背中が壁に当たった。
それを見た老兵は更に口角を上げて目を細めていて、全身に悪寒が走る。
『あの…こ、来ないで、』
「本当に美人だなぁ…その白いワンピースも似合ってるし、綺麗な髪にその薄い唇…あぁぁ、我慢出来ない…」
そう言いながら老兵は、片手を自らの下半身に持っていき、何処かをぎゅっと掴んでいる。
震えが止まらない。怖い、気持ち悪い。
そしてもう片方の手が私の手を掴み、思わず小さく悲鳴を上げる。
『だ、だれか…王っ、』
「俺を見てくださいよA様ぁ…」
気持ち悪い顔を見たくなくて、目をぎゅっと瞑ると、老兵の悲鳴と共にぐちゃりと音がした。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
檸檬 - 性癖ドンピシャ。やばい、好きすぎて昇天しそう……あ、おそらきれーい。茶番はさておき、kn王の溺愛（）っぷりも夢主ちゃんが無自覚に堕ちてるところも文章としてのレベルが高くて凄く読みやすい作品になってました！これからも応援します！！（長文失礼しました。） (2021年8月17日 0時) (
レス) id: 92e2da3c03 (このIDを非表示/違反報告)
ぴくぴく - 凄く好みです更新頑張ってください! (2021年8月16日 11時) (レス) id: 27565d6148 (このIDを非表示/違反報告)
懐中電灯 - ん゛ん゛好きです(唐突)更新頑張ってください！ (2021年8月15日 23時) (レス) id: 1e8e7af11e (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち - めちゃくちゃ好みの作品です…！作者様の無理のない程度で更新楽しみにしております！ (2021年8月15日 21時) (レス) id: 15807a80a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - ういいいいいい好きです… (2021年8月15日 16時) (レス) id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤月セレン
| 作成日時：2021年8月15日 1時
