【鬼滅の刃】視界がうるさい。

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涙流す準備は完璧。あとは表情のみである。

こちらへ向かってくる店長にお願いするべく表情もスタンバイ。

しようとした途端。





『！！』





ある方向からなんとなく殺意？敵意？を感じて反射的に手が刀に伸びかけたが、すっと戻す。

いやいやいやここで抜刀しようとすんなよ自分。

あの環境にいたせいか、そういうのには凄い敏感なのだ。自分に対して向けられるものは特に。

……。



何かの気配を感じた方向にすぐには視線を向けず、辺りを見渡す感じでさり気なくそちらの方をチラリと見ると、そこには働いている様子の女の人が立っていた。





『(あの人からか？)』





その人の見た目は20代ぐらいの綺麗でもないフツーのオバサン。あ、ちゃんと呼ぶときはもちろんお姉さんって呼ぶから安心してほしい！

今はさっき感じた禍々しい気配は全くない。

正確にはその人からのものか分からないが、睨みすぎても勘づかれたらいけないので程々にしておく。

すると店長さんがこちらへ来たから、私はそっちのけですぐにうるうるの目で店長に言いよった。

この切り替えの速さは我ながら神ってると思う！





『私、身寄りもなくてお金もなくて……ここで働きたいんです！なんでもするのでお願いします！』

｢うんうん。最近何故か働き手が減っていてね、子供でも大歓迎だよ。いい子そうだし｣

『ほんとですかっ！』





いや話進むの早すぎないか。

早すぎて涙という名の目薬を目から落とすタイミング見失ったんだけど？？

やっぱあの男話になんねぇわ！最初から店長に直談判しとけばよかったくそ。

時間無駄にした。

ある程度お金溜まったら、宿で寝泊まりして派手野郎ん家からさらばしよう。

昨日は空腹すぎてガキ1匹養えねぇとかふざけてんのか！！ってちょーーーっと荒ぶってたけど、正直迷惑でしかないはずだ。

名残惜しさはない。







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