不安にさせないうきしょくん ページ30
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掴み所のない人だ。
追い掛けて追い掛けてやっと捕まえたと思ったけれど、その手がいつ離れてしまうのか不安で仕方ない。
だから君に釣り合うために必死だった。
背伸びをして大人の男の人がモデルのファッション誌を読んだ。
読んだこともない英字新聞を買ってみた。
本当はホテルの最上階の高級レストランに連れて行きたかった。
本当は誕生日に薔薇の花束と高いアクセサリーをプレゼントしたかった。
だけど実際はちょっと高いファミレスくらいが精一杯だ。
学校と部活の合間を縫って、一生懸命バイトしてもほんの数万円にしかならない。
誕生日に渡せたのは、一万円にも満たない安っぽいネックレスとカジュアルイタリアンの美味しいパスタとケーキだけ。
「今日は学校どうだった？」
細い指先で髪の毛を掻き分けてくれる仕草がすきだ。
ドライヤーの電源をオフにして、くるくるとコードを巻く爪を見る。クラスメイトの女子とは違う、アプリコットオレンジのグラデーションネイル。
「今日はねー、テスト返ってきたよ。数学88点だった！那須には負けちゃったけど」
「ああ、よく話を聞く那須くん。じゅうぶんすごいじゃん。よくがんばったね」
「ふへへへ」
ドライヤーを掛けたばかりの、少し湿った毛先。
オレンジのネイルが毛先を掬って、それからよしよしと頭を撫でた。
子供扱いされてるようで癪だけれど、このときの彼女はとても優しい顔をする。
「いいね、高校生。うらやましいな」
「なんで？俺はいやだよ。早く卒業したい」
「飛貴くんと一緒に高校生活を送れる女の子たちが、うらやましいよ」
「……Aちゃん？」
なでなでと頭を撫でていた手のひらが、するりと耳たぶあたりをくすぐった。お風呂上がりなのにつめたい手だ。
その手を自分の手とそっと重ねる。長いまつげを伏せて、君は眉を下げて笑った。
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りつ(プロフ) - しいさん» ありがとうございます嬉しいです！！幸せな気持ちになって頂けるようちまちまと更新していきます〜！ (2017年10月2日 8時) (
レス) id: 7c91888883 (このIDを非表示/違反報告)
しい(プロフ) - いつも読ませていただいては幸せな気持ちになってます！！これからの更新も楽しみにしています＼(^o^)／ (2017年10月2日 2時) (レス) id: ff1ac2d1a8 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - ふーさん» こちらこそお読み頂きありがとうございます〜！短い話ばかりですが少しでも暇つぶしになれば嬉しいです(*^o^*) (2017年8月21日 21時) (レス) id: 49628bd39a (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - りつさんのお話がまた読めて本当に本当に嬉しいです！！！！！！！ありがとうございます！！ (2017年8月21日 19時) (レス) id: e57a3c666b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りつ | 作成日時：2017年8月21日 19時
