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「あー、新しくここの審神者に任命されたAです。どうぞよろしく？」
「……これは君の仕業か」
三日月宗近が鋭い目で聞いてくる。少しビビるけどここでビビってる姿を顕にするのは良くないよな、と耐えた。
「霊力の事ですかね？それなら私ですけど」
「あー、でも完全では無いと思うのでちゃんと手入させて欲しいんですけど……」
「必要ない」
山姥切国広と同じことを言う三日月宗近。必要ない、ねぇ。
「審神者としてやるべき事はやらせてもらわないと困るんですけど」
「困る？ほぅ、それは都合が良いな。困って嫌になればさっさと出て行くか？」
なるほど、そうなるか。うーん、やっば爺相手はちょっと面倒臭いな。
「出ていかないですよ、任された以上この身が尽きるまでここにいますから」
「それならじいが今すぐにでも切ってやろう」
立ち上がった三日月宗近に、こんのすけが慌てた様子で三日月宗近の近寄る。
「三日月様、お待ちください！」
「こんのすけめや、そこをどけ」
「こんのすけ、危ないよ。そこどきな」
「で、ですが！」
「三日月宗近に殺されるなんて名誉だね。あの世で自慢できるよ」
笑みを浮かべながらそう言葉を発せば、より険しくなる雰囲気。
「なに、君、殺されたい願望でもあるのか」
「いや？そりゃあまだ生きていられるなら生きていたいけど、いつ死ぬかなんて誰にも分からないでしょう？唯一知ってるとしたらそれは神様だけ。だから、その日が来るまで私は私がやれることをやるまでよ。今日、貴方に殺されるなら私の運命はそうだったって言うだけの話」
簡単でしょう？
「……」
刀を下ろした三日月宗近に首を傾げる。
「切るんじゃなかったの？」
「切る気が失せた。だが、変な行動をすれば次は躊躇いなくその首を狙うぞ」
そう言って居間から出ていく三日月宗近とそれに続く複数の刀剣たち。残っているのは、山姥切国広、歌仙兼定、加州清光、蜂須賀虎徹、陸奥守吉行の初期刀組。
「どうかしましたか？」
「……怖くないの？」
そう聞いてきたのは、加州清光。
「怖くないといえば嘘になりますね。そりゃあ死ぬのは怖いですから」
でもそれよりも、
「目の前で誰かが消える方が、死ぬ方が怖いですよ」
「っ、」
「それじゃあ、私は他にやることがありますので」
結果、出て行けとも言われてないし切られてもいないから居ることに関しては問題ないだろう。とりあえず、審神者部屋に向かった。
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作者名：さき | 作成日時：2022年4月11日 20時
