82話 乱入松野さん ページ42
狐優紀side
妖怪神「これより天狐と人魚の転生を決行する」
妖怪神の声とともに、舞台の上へと歩みでる。
横を見れば意を決したような羽実果の顔。
これから私達は転生する。
それ相応のことをしてきたのだから無理もないし、こうなる事などとうの昔にわかっていた。
間違ったことをしたとは思っていない。
人界でいう百年数十年もの間、私達は真面目に生きてきた。
後悔はしていない。
強いて言うなら、最期くらい皆に伝えた方が良かったかなという事くらいだ。
でも、言ってしまえば転生することに対して未練を感じてしまう気がしていた。
だからこそ、私達は言わないと決めたのだ。
妖怪神が舞台袖のレバーに手をかける。
その表情はどこか悲しげだ。
思えば、両親を失った私達に親身に接してくれていたのは妖怪神と天藍だけだった。
その親のような存在にあんな顔をさせる私達は間違っていたのだろうか。
転生前にそんなことが頭をよぎる。
妖怪神がレバーに掛けた手に力を入れようとした時だった。
?「そこの半妖転生させるのちょっと待ったああああああああ!!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
羽実果「お、おそ松!?」
何でこんな所に…おそ松の背後には皆もいて、中には天藍の姿があった。
言ったのお前か天藍……。
「な、なんだ!?」「人間だ!!取り押さえろ!!」
お「勝手に決めて勝手に消えるとか許さねえからな!!」
カ「そういう大事なことは言ってくれって…言っただろう!!」
おそ松とカラ松の手から火と水が噴射された。
チ「本っ当に二人はいっつも隠し事ばっかして僕たちにはなんも教えてくれないでさぁ!!」
一「少しは頼ってくれたっていいじゃん…」
十「知らない間にいなくなるのは一番嫌っす」
ト「頼ってよ!!家族でしょ!?」
草、独、電気、それらで小妖怪に攻撃を仕掛ける3人と、物理攻撃をする1人。
羽実果も私も唖然としたまま動けずにいた。
妖怪神「……その攻撃、やめい」
その声であたりが完全に静まった。
まさに鶴の一声である。
妖怪神「人の子よ、お主らはこの娘達を家族と申すか」
お「当たり前だろ!!」
妖怪神「よかろう、十分だけ時間をやる、その間に好きに話すがよい」
小妖怪が道の脇にざっと引き、おそ松達はこっちに向かって走り出した。
いつもの笑顔のまま。
真剣な気配をもって。
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作者名:スノーローズ | 作成日時:2017年7月16日 20時