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78話 主として ページ38

狐優紀side


結界陣が張れたら、竜巻を防げるのに。

今の私には無理なようだ。

さっき蹴飛ばされたせいでまだ体思うように動かない。

私はまだいい、せめて皆を助けられればいいのに、それすら今の私には出来ない。

竜巻はすぐそこまで来ていた。


あぁ、私は最期の最期まで誰かに守られたままで、誰かを助けられずに消えるのか。

天藍「桜歌風乱舞!!」

目の前を花びらが舞い、桜の花を描くと、竜巻を消滅させた。

銀「なっ!?」

狐優紀「天藍……」

天藍「狐優紀様のお母様が銀様の主であったなら、狐優紀様は僕の主です、みすみす傷付けさせません」


いつもの冷静でしっかり者の天藍はどこへやら。

今私達の目の前にいるのは怒りと殺気を露わにし、銀に対して敵意むき出しにした巨大な猫又妖怪だった。

羽実果「天藍君…」

銀「おのれ……邪魔をするなああああああ!!」

銀が再び竜巻を放つ。

天藍はそれに正面からぶつかってこちらに吹き飛ばされてしまった。

狐優紀「天藍!!」

天藍「狐優紀様、羽実果様、お二人はとても強い心をお持ちです、絶対諦めてはダメです」

狐優紀「お主にそれを言われてしまうとはな…」

主の格好がつかないじゃないか。

天藍「お二人で銀を…」

狐優紀「わかっておる、天藍、今現在、銀の妖界での立場は?」

久しぶりに口にするこの言葉、こいつは私と羽実果で滅する。

天藍もその意味がわかったのか、いつもの姿に戻ってにやりと笑ってこう言った。

天藍「数々の妖法の違反、器物破損等により、転生命令が下っています」

羽実果「じゃ、遠慮は要らないってわけだね」

羽実果と私は構えて銀を見据えた。

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作者名:スノーローズ | 作成日時:2017年7月16日 20時

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