花には水を、人には人を妖に＿＿＿? 2 (ページ35)

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７５話親というものページ35

羽実果side

何これ!?動けない!?

背後を見ればよくわからない模様が垂直に立っていて、私も狐優紀もそれに固定されてしまっている。

これは…絶対良くないことが起こる。

何とか抜けようともがくも、よくわからない模様のせいか、やっぱり動けない。

お「お前何してんだよ!!」

銀「これで仇が討てる…これで」

こいつ正気じゃない。

狐優紀「銀!!よせ!!邪気に飲まれてしまう!!」

狐優紀の声は届かない。
恨みを持ってる相手の声など聞く気もないってか。

カ「このっ……うわっ!?」

チ「何こｒ…うっ!?」

銀に向かっていこうとする皆は邪気の塊に拒まれて吹っ飛ばされる。

もうボロボロだ。

狐優紀「皆!?くっ…」

なんなんだこれ、磔にされた気分だよ。

銀「主の敵!!消えろ!!」

狐優紀「っ!!」

銀の放った風刃が私と狐優紀目掛けて飛んでくる。

避けられない。まずいっ。

狐優紀「くっそ……」

覚悟を決めて目を閉じた時、光線が私たちの前を横切り、私達はその光とともに後ろへ吹っ飛ばされた。

銀「なっ!?」

半妖組「母…上……?」

起き上がった私達は光を放つその物体を見て目を見開く。

明るく象られたそれは生前の私達の親だった。

銀「一体何が」

狐優紀「は、母上?どうして」

天狐「狐優紀、羽実果ちゃん、よく聞きなさい、私達は今は実態を持たない魂、言わば幽霊の状態」

人魚「貴方達を守ってあげられるのはこの一度きり」

羽実果「そんなっ魂の状態で攻撃なんか受けたら母上達は転生できない!!」

転生出来たらまた立派な妖怪になる事だって出来たのに。

人魚「二人とも私たちがいない間よく頑張ったわ、でもね、これで終わりじゃない、まだまだやらなきゃならないことが沢山あるから」

天狐「頑張ってね」

狐優紀「何で、何で助けたの…母上……」

天狐「さぁねぇ……でも、狐優紀、羽実果ちゃん、これだけは覚えていて」

人魚「親は皆同じ、親なんて、皆子どもだけが可愛いの」

私達の母親は二人共そう言って微笑むとパッと消えてしまった。

まるで、蛍の光のように。