66話 秘密 ページ26
羽実果side
あぁもう、何で変なところ鋭いかなこの人は。
いや、私もわかりやすいのかもしれないけどさ。
羽実果「数日前、天藍君がね、この町の人達がおかしいって言い出したんだ」
お「天藍が?」
天藍「は、はい…だって、この街の殆どの人達は主に下半身に怪我をしてるのに手当もせずに平然と過ごしているんです、すごく不思議でした、大怪我と言っていいようなものさえ手当しないんですから」
これはさすがの私も驚いた。
手当しないなんて、原因不明の傷があるのにそんな平然としてられるのかと。
羽実果「それでその傷の原因として行き着いたのが妖怪、鎌鼬」
チ「鎌鼬って確か三体で行動するやつだよね、一人目が人を転ばせ、二人目が人を傷つけ、三人目が傷を塗るっていう」
羽実果「うん、でも今回のは急所になりかねない傷も山ほどあって、流石にみんなに伝えるのは危険だって判断したの」
巻き込みたくはなかったんだ。危険なことに。
天藍「狐優紀様は“彼らには教えちゃダメ”って言いました、だから伝えられなかったんです」
一「……なるほどね」
ちゃんとわかってたよ、私達の行動で皆が少し辛い思いしてたのも、不審に思ってたのも。
でもこればかりはどうにも出来なかった。
下手したら死んでしまうかもしれないのだ。
鎌鼬は三体で動くけど、一人目がどれ、二人目がどれなんてわかりゃしない。
例えば人を転ばせる役割のやつを殺してしまったら、残りの二匹は怒り狂うだろう。
薬を塗る係が役割をちゃんと果たすかさえわからなくなってしまう。
要するに危ないのだ。
だからこそさっき姉さんは一人で家を飛び出した。
カラ松とトド松を助けるために。
お「悪ぃさっき怒鳴って…色々考えがあったんだな」
羽実果「秘密にしてたんだからお互い様だよ」
そう、お互い様。どっちが悪いなんてことはない。
ねえ、姉さん。
一人で抱え込まなくってもいいんだよ、彼らに相談してもいいんじゃないかな。
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作者名:スノーローズ | 作成日時:2017年7月16日 20時