【ヴィランズの手下】邪悪な蛸さん (ページ26)

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スキャター「亜希さん、氷嚢持ってきましたよ」

亜希「ありがとうございます、スキャターさん」

ベッドで顔を赤くして寝ているAの頭を上げ、氷嚢を置きまた寝かせる。

スキャター「熱があったんですね…それにしてもよく熱があるって分かりましたね？」

亜希は苦しそうに息をしているAの頭を撫でながら、

亜希「昔からの癖なんです」

と悲しそうに答えた。

その言葉にスキャターは触れて良いのか分からず黙っていると、

亜希「気になりますよね、私達の昔の事」

そう言われ正直に頷いた。

亜希「勝手に話すとAに怒られるので、私の独り言だと思って聞いて下さい」

そう言って亜希は話し始めた。

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亜希「Aの親がとても厳しい人なんです。なんでも完璧に出来ないとダメ。出来ないのなら出来るまで閉じ込める。そうしてあの天才なAが生まれたんです。

私とAは幼なじみでよく遊んでいました。私の家は全員が音楽関係者だったので、私もAと同じように全ての楽器を演奏出来るよう強いられました。

ある日私達のストレスが限界に達し、親達に『ずっと遊んでいたい』と言ってから、私とAは会うことを禁じられました。

それから私達は心を殺して親の言いなりになっていました。高校は有名な私立に入れられ、Aは全てにおいてトップになるなら、私はどの楽器でもコンクールで賞をとるなら、と条件付きでAといる事が許されました。

こんな環境の中でAは誰にも甘えることが出来なかった。まだ会うことが禁じられていた頃にAが私の元へ来て先程のMr.Vにした様な甘える態度をとりました。抱きしめたAの体は高熱でとても熱かったです。それから何度もありました。私の元へ来ては甘え、気が緩んだところで熱が上がり倒れ、の繰り返しです。
なので私の中でAが甘えるということは熱があると認識しています。」

顔の赤みが治まりゆっくりと寝ているAの頭を撫で、

亜希「完璧である事を求められた私達は、それに応える事しか知らないのです」

まあ、応えたところで親達は満足していなかったんですけどね。と笑う。

亜希「Aも落ち着いできたので、1人にしてあげましょう。紅茶でも飲みながら貴女のお話聞かせて下さい」

と哀しそうに笑うのでスキャターも何も言えなくなり、そのままAの部屋を出た。

Mr.V「(そういう事ね)」

怪しい影がゆらりと動いた。