…全く、私にとことん甘い人。 ページ22
忙しなく着信音を鳴らす携帯に八つ当たりしたい衝動をなんとか抑えて、着信ボタンを押す。
「貴方は深夜にしか連絡できないんですか？」
「今はまだ夕方だが？あまり生活習慣を崩しすぎるなよ」
イタリアはな！？
嫌みったらしいその言葉に声を荒げようとするが、暗く静かな夜には似合わないと憚られる。
「生活習慣等々の話しは貴方には言われたくありませんっ」
「…ところでケーニッヒから連絡はきたか？」
早々に話をそらしにかかるヴェルデさんに、ため息を吐き出して、ん？と首を傾げる。
「きてませんけど…どうかしたんですか？」
「試作途中のものに少し問題が出てしまってな、お前が研究していたものの書類を参考にしたいらしい」
「えっ、珍しいですね」
本当に珍しい。
父の研究チームの一人であるケーニッヒさん(日本語で敬称つけると違和感だな)は、生真面目すぎるというか少々固すぎる人で、若くして大事な研究に中途半端に参加している私をあまりよく思っていないらしい。
特になにか言われたことはないが、妙な敵対心を持たれているような気がして仕方がないのだ。
まぁ父は仲がいいようなので、若い女の子相手に戸惑っているだけだ、なんて笑っていたけれども、絶対違うだろ。
「そのうちなにかアクションがあると思うが、無視してやるなよ」
「いや、しませんよ…貴方じゃないんですから」
幼少の頃仕事仲間から連絡が帰ってこないと嘆いていた父を思い出して、呆れた声を出した。
カタカタとキーボードを叩く音を聞いてちょっと恋しい気持ちになる。
恐らく携帯片手にパソコンと向き合っているのだろう。
「研究、どのくらい進んでいますか？」
「…この間の論点はクリアした、お前が提出した論文は特に役に立ったぞ」
日本に帰ってきてから地下で研究していたものを纏めた論文は、どうやら彼らにとっても納得できるものになったらしい。
安堵に胸を撫で下ろす。
「イノチェンティがウザいほどに得意気だった」
「…父がすいません」
易々と思い浮かぶ父の親バカ具合に少し申し訳なくなった。
「…たまにはお前から連絡してやれ、五月蝿くて研究どころじゃなくなる」
…全く、私にとことん甘い人。
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
