謎は深まるばかりだね。 ページ21
白をベースにした茶と緑のストライプのワンピースを、あえて腰を絞らず緩く着こなす。
黒のショルダーポシェットを肩に引っ掻けて、柔らかい色のパンプスを履く。
ヒールのないそれをトントンと爪先を地に付けて、玄関の姿見鏡で確認してから家を出た。
向かうはスーパーだ。
学校帰りに寄れる近くのスーパーではなく、休日のこの日ぐらい大きなスーパーでゆっくり食材を吟味したい。
食通なわけではないけれど、と先日の六道君を思い出して少し眉尻を下げた。
『…自分のために作られたものというのは、特別な美味しさがありますね』
訳もないいつもの笑顔で発された言葉だったけれど、少し気になる言葉だった。
人から貰ったものは口にしないとも言っていたし、彼の立場がどういうものなのかなんて私の知ることではないが、中学生というまだ自立するにも早い年齢で言うには不自然な言葉だった。
成熟しすぎた精神だとか、雰囲気だとか、思うことがないとは言えないけれど、踏み込む気もない私に彼を気にする資格があるのかはわからない。
けれど、あんなことを言うまだ少年の域をでない男の子に、手作りの暖かみを少し教えてあげてもバチは当たらないはずだ。
もしかしたらこの間のお弁当だけで、もう受け取ってはくれないかもしれないし、余計なお世話になるのかもだけど。
年を取ると情が湧きやすくていけない、と自嘲した。
ゆっくり時間をかけた買い物は袋三つ分という一人で持って帰るには無理がある量になった。
調味料の類は買いだめしててもいいだろうという考えがダメだったのか。
すべてそれなりの重さがある袋を抱えて、よろよろと黒曜の町内に帰って来た。
そろそろ一回下ろそうかなと足を止めると、あの、と後ろから声をかけられる。
「持ちます、か」
「えっ」
静かな声の男の子が、少し落ち着きのないように眼鏡を手で押し上げる。
私が返事をする前にスルリと二つ手に取られて、少し焦る。
「あっ、えっと…」
「？、いくよ」
迷いなく私の家へと歩きだした同じ年頃だろう彼に、怪しいとは思いつつも隣に並んだ。
「ありがとう、名前聞いても？あ、私は」
「柿本 千種、名前は知ってる、骸様が言ってた」
「骸、様…？」
謎は深まるばかりだね。
…全く、私にとことん甘い人。→←どうせ指摘しても、君だけだよっていうんでしょ？
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
