まずは映画を見に行きませんか？2【名前変換オリジナル】

むかしばなし ページ21

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律「僕は小さい頃、自分の周りに人が集まってくるタイプだったんだ」



人通りの少ない廊下まで来て、そこにある椅子に座って律くんへ耳を傾ける。



律「理由はわからなかった。けど騒がしいのは好きじゃなかったから辛くてね。僕は内気だし人見知りで、なにより1人が好きだったから」

『そっか…』

律「でもみんな僕を放っておいてくれない。1人で読書をしていても、クラスメイトに無理やり毎日外に連れ出されて…先生さえも、律くんは人気者だね！って嫌がる僕の意見なんか誰も聞いてくれなかった」



言葉だけ聞いたら、羨ましい状況のようにも思える。でも語っている本人はとても辛そうで…私はときどき相槌を打つことしかできなかった。



律「でも中学に上がったら、紀元くんが困ってる、静かにしてあげて！って女の子のクラスメイトがいた…すぐに仲良くなったよ」



嬉しかった、というわりには浮かない表情…。



律「いつの間にか好きにもなってた。気持ちを伝えたら、嬉しいって答えてくれて…付き合うことになったんだ。そこから…その子の態度が一変した」

『一変…？どういうこと？』

律「彼女の行くところに全て…連れ出されるようになった。…まるでみんなに僕との関係を見せつけるようにピッタリくっつかれて」

『そんな、それじゃあ…』



律くんが嫌がっていた同級生たちと同じじゃない、という言葉までは出すことができなかった。



律「挙句の果てにね、休日に遊びに行こう！って誘われて…僕はデートだと思って待ち合わせ場所に行ったら、その子だけじゃなくて、その子の両親とその子の小学校のときのクラスメイトが何人もいた。唖然としていたら僕の手を取って言ったんだ。このイケメンが私の彼氏！羨ましいでしょ？って」

『！！』



あまりに衝撃的で…ひどい話で…相槌さえもできなくなる。



律「そのとき理解したよ。ああ、今までの全ての原因はこの顔だったんだ、って。そこからは、前髪を伸ばして必要最低限のときと両親がいるとき以外は顔を見せないようにした」

『ご両親には、どう、して…？』



なんとか声を絞り出して尋ねる。



律「彼女にそう言われたあと…僕は泣いて帰って事情を話したんだ。そしたら父さんが、わかった、他の人の前では顔を見せなくていい。でもせめて、俺たちの前では自由に顔を出して生きていっていいんだ。って言ってくれたから」



少しずつ震えてくる声に、思わず律くんの手を握った。



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