そういえば ページ22
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律「…あんまり明るい話じゃなくてごめん」
『ううん。話してくれて、ありがとう』
重ねた手を離して、今にも零れそうな涙のためにカバンからティッシュを取り出し渡す。
律「あぁ、ありがとう情けないな」
『そんなことないよ。私こそ、事情知らずに安易に理由聞いたりして…』
いいんだよ、と涙をぬぐった律くん。
『素敵なご両親だね』
律「うん。前髪を伸ばしても変に見えない髪型に毎回してもらって感謝しかない」
理容師さんだっけ?と言うと、うんと嬉しそうに笑った。その笑顔を見てホッと胸をなでおろす。
『そっか、だから夏祭りのときも…あれ?』
その時、ふと思いつく。
『ねぇ律くん…ご両親といるときと、必要最低限のときだけ前髪を上げてるんだよね?』
律「そうだけど…どうして?」
『この前、一緒に遊びに行ったときも上げてたよね?前髪』
律「あ…それは…」
俯かせた顔を覗き見ると、気まずさと照れが混在してそうな表情に困惑してしまう。
『なんの表情…?ど、どうしたの?』
律「いやぁ、ごめん…それは、き、気まぐれだよ!なんとなくあの日は、前髪を上げたくて!」
『そ、そっか』
誤魔化しが随分下手だ…。でも、ここで問い詰める意味もないかと口を噤む。
『あっ、そろそろ次の授業の時間だ。私、行かなきゃ』
律「あぁ、うん。それじゃあまた」
時計を見て立ち上がった私たち。お互いに手を振ってそれぞれの行先へと歩を進めた。
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みびみやこ(プロフ) - おバカな莉久(サブ)さん» はじめまして。凄く好きだと言って頂けてとても嬉しいです!必ず完結までいきつきますので、お待ち頂けますと嬉しいです。これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2022年2月10日 19時) (レス) id: e70206d298 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな莉久(サブ) - はじめまして!このお話凄く好きです!更新再開(?)おめでとうございます!無理だけはしないでください!これからも更新ゆっくり待ってま〜す! (2022年2月9日 22時) (レス) @page38 id: ddd40ab2e7 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - みびみやこさん» わああっおかえりなさい、待ってましたー!ゆっくりで全然大丈夫なので、無理せず頑張ってください…! (2022年2月8日 1時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 返信が遅くなり申し訳ございません。この度、更新を再開しました。待っているという言葉、すごく励みになります!更新頻度についてはゆっくりではありますが、完遂しますので最後まで見守ってくださると嬉しいです! (2022年2月6日 21時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - 更新停止…寂しい…でも私はいつでも待ってます!って言ったらプレッシャーになっちゃうかな…もし戻ってきたら私も戻ってきます、この作品を忘れません!ってことです。リアルでの生活も、無理しないように頑張ってください…! (2021年12月27日 22時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2021年9月28日 14時