7 神楽小夜 ページ10
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「アヤさーん!どうしてバイトの人がいるんですかー!断れば良かったのにー!」
金髪ギャルがアヤに俺の存在を訴えてきた。
何か俺が邪魔みたいな言い方されてるんだが...。
まあ、俺が入る前までは、四人がいる花屋は大変人気だったな。
俺がそこに一人ちょこんといても、
女子高生は見向きすらしなかった。
...俺はそこら辺の雑草かよ。
とにかく俺はモテるチャンスすら一つもなかった。
花屋でバイトすればモテると思ったが...。
ふとハルの頬に目が向いた。
ハルの姿と昨日の女の姿が重なる。
...まさかそんなわけが。
「な、なあハル、悪かったな。
アイツはいつもああいうやつだからさ。
ヨージ!お前守備範囲はどうなったんだよ!」
「いつも言ってるだろ。
俺は18歳以上が守備範囲なんだって。」
大人とは好きになれないやつばかりだ。
難しいことしか考えていない。
だがヨージだって俺以上の悲惨な記憶を持っているだろう。
...オミはどうなんだろうか。
「うわっ!ちょ、アヤ君も手伝ってよー!」
「っ、ああ、すまない。」
確かオミは昔の記憶がないんだったか?
よく元気でいられるんだな...。
と、ケンの後ろから「すみませーん」という小学生ぐらいの少年の声が聞こえ、
それに気づいたケンは後ろから転がってきたサッカーボールを手が塞がってるにも関わらず、
透かさずリフティングで見事に受ける。
そしてボールをキックして少年に返す。
...恐るべき神対応。
「お兄ちゃんすげー!ありがとー!」
「おう!気をつけてな!」
ケンは元Jリーガーだから当然だ。
プロの力を持っているのだ。
俺はちなみに野球派だがな(どうでもいい)。
「...ユウト。」
「何だ、アヤ。」
「ちょっとこっちに来い。」
手が空いてる俺の腕を引いて、
トレーラーの中に入れられる。
アヤは深刻そうな表情をしていた。
「お前はまだ気づいてないのか。」
「何がだよ。」
「アイツの正体だ。俺はわかった。」
「えっ?」
...思わず動揺した。
まさか、やはりハルがポートマフィアの...。
そんなわけがない。
あの傷はスポーツとかで怪我したのだろう。
しかしアヤの最後の言葉に、
俺は真実を知らされてしまった。
「あの女は、お前の幼馴染みの池田ハルだ。」
強い目眩におそわれ、
俺は気を失った。
__...そんな...はずが...ないんだ...。
脳内にちらつくフードの女。
フードの中の表情が、
影からハルの顔に変化していった。
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作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月14日 12時