11 神楽小夜 ページ14
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...そもそも、何のためにWeiβに入ったんだ?
俺はただ復讐心の為に...。
俺はハッと気がついた。
もう復讐する相手がいないのだ。
やるべきことを果たしてしまったのだろうか。
...こんな戦い、俺には全く意味ない。
そう思ったときだった。
「...ユウト。今のやつ...。」
「...ケン。ハルがポートマフィアの組織の一人だったんだ。
でも俺は裏切られたなんて思ってもいない。」
「ユウト君...。」
アヤ達は俺のことを心配してくれていた。
経験者であるからこそ、
自分には二度とそうさせたくないだろう。
アヤ、ケン、オミ、ヨージは、
それぞれの理由があってWeiβに入った。
じゃあ、俺は...?
「...俺は...何のために...。」
「お前自身の理由は、これから知ればいい。」
アヤの言葉が理解できない。
今から知る...?何故...?
「俺ら一人一人の使命は果たした。
俺も、オミも、ケンも、アヤも。
今度はお前の番だ。今からでも遅くない。」
...ようやく理解できた。
そして己のやるべきことを見つけた。
...俺が今戦っている理由、それは、
一番大切な人、ハルを守る為。
両親をなくした俺だからこそだ。
ハルを傷つけたりはしない。
俺の中のモヤモヤが、今になって消えていった。
「じゃあユウト、俺にいい考えがあるんだ。」
「何だ、いい考えって。」
ヨージは俺に近づいて、
怪しい笑顔を浮かべてこう言ってきた。
「思春期のお前にお似合いの考えをな。」ニヤッ
「...へっ?」
___________
翌日、俺はハルに電話を掛けた。
何なんだ...この胸苦しさ。
吐きそうな位気持ちわりい...。
ハルが電話にでた。
《...もしもし。》
「ハ、ハル!そ、その、あの!」
言いにくい!
いくら思春期の俺でもこれは気不味いわ!
何てこと考えるんだヨージは!!
「あ、あのな...。
............俺と付き合ってくれ!!!」
《ブフォォォォォォォォォ!!!?》
電話の向こうで飲み物を吹き出す音が聞こえた。嗚呼...ハルごめん...。
ヨージいわく、
「お前が笑顔でしっかりと、ハルちゃんを幸せにしようという気持ちを持てば、ハルちゃんもお前の知ってるハルちゃんに戻るはずだ。」
ということ。
要約すると、「デートしろ」ということだ。
「あ、あそこの、ほら、あの、遊園地あるじゃん!あそこで待ってくれ!!」
そう言って相手の返事を待たずに思いっきり電話を切った。
嗚呼...神様、
俺、こんなことして大丈夫でしょうか...?
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作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月14日 12時