#愛され呪術師 【呪術廻戦】

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首を傾げながらそう聞いてくる虎杖へ、伏黒は自身のスマホをスクロールしつつ言い放つ。






伏黒「………日本国内の不可解な死者、行方不明者は年平均1万人を超える。
そのほとんどの原因は呪いだ」



悠仁「“呪い”？」





悠仁は眉をひそめ、今度はソファの背もたれに寝そべる。
意味がわからないとでもいうような顔の悠仁に、Aは苦笑いを浮かべた。





「まあ、確かに急に“呪い”がどうこうって言っても意味わかんないよね」




伏黒「お前が信じるかどうかはどうでもいい、それが事実だ。
……続けるぞ」





伏黒は目つきを鋭くさせて、なお口を開いた。





伏黒「学校や病院には膨大な怨念があり、負の感情の源になる。
だから多くの学校などに、魔除としての呪物をひそかに置いていた。



お前が持っているのもそれだ」





伏黒がそう告げると、悠仁は手を挙げてきょとんとした顔になった。





悠仁「“魔除け”ならむしろありがたいんじゃないの？？」





そんな悠仁に、「最後まで聞け」とピシャリと返す伏黒。
ピリッとした雰囲気の伏黒を「まぁまぁ」とAは諫めると代わりに説明を始めた。





「より邪悪な呪物を置くことで、他の呪いを寄せ付けない劇毒。
私たちが言う“魔除け”は、ただの名前だけのもの。
月日が経てばたつほど、年月が経てばたつほど、その封印は緩んでしまうの」




悠仁「…………？」




「つまり、封印が緩むと呪いを寄せ付け、肥させる力に転じるってこと。
君の持っている呪物は、もう何年も封印されていたものなんだよ」





真剣な表情で言葉を並べるAを、悠仁はじっと見つめる。
言葉を区切ったAの代わりに、今度は伏黒が喋りだす。





伏黒「お前が持っているのは、【特級】に分類される危険なものだ。
人死にが出ないうちに渡せ」



悠仁「…いや、だから俺はいいんだって。
先輩に言えよ」





悠仁はポケットの中を探ると、「ほいっ」と軽い気持ちで伏黒に投げ渡した。


小さな細長い箱は、まさしく2人が求めていたもの。

伏黒が中に入っている呪物を確認するため、その箱をスライドさせた。






____________しかし。





「……！！






______空！？」





そう。

そこに納められているはずの呪物は、無かったのだ。
呪物の形に絡んだものを見ながら、Aは伏黒を見上げる。





「え、じゃあ私たちが追ってきたのは、箱にこびりついた残影ってこと…！？」

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