宇井 郡・短編集 【東京喰種】

アサガオ ページ45

午前5時

郡の家に向かった。



昨晩、電話で

『午前5時半に家に来て』


と、呼ばれ、眠い目を擦って家を出た。



────────



ピンポーン…


インターホンを鳴らすと数秒でドアが開いた。



｢はやく!｣



手を引っ張られ、たどり着いた先はベランダ


ベランダに出ると綺麗だった朝日が眩しく感じた。




｢朝日、綺麗だねー｣


｢そっちじゃなくて、こっち!｣




指さした方向を見ると綺麗にひらいたアサガオがあった？





｢だから早く来て、って言ったんだね｣


｢綺麗でしょ。花言葉はね、“固い絆” だよ｣



｢…うん。なんか想像できるかも｣


｢あとね、もう一つ花言葉があるんだけど……忘れたんだよなぁ…なんだっけ｣



物心つく前から一緒で、気づけば成人し、社会人。


親友とも呼べる仲だった。



郡に恋愛感情なんて実らなかった。


それは多分、あっちだってそう。

ただの友達、としかみてなかったはず。




(はかないなぁ…)



｢…受け取ってくれる?｣


｢受け取る? もったいないよ〜。こんなに綺麗に咲いてるのに｣





知ってる。本当は。


アサガオの花言葉。




『はかない恋』





中学生の頃、郡とアサガオを育てて、ついでに意味を調べたのを覚えている。


忘れもしない。




｢えっと、もう帰るね! まだ朝ごはん食べてないし｣


｢うん。朝早くにごめんね｣


｢ううん。またね｣


｢うん、またね｣



…



｢受け取って貰えなかったか…｣



『はかない恋』


本当、そのまんまだ。




アサガオのもう一つの花言葉は、




『愛情』




────……



なんか、分かりませんね(笑)

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