宇井 郡・短編集 【東京喰種】

モーニングコール ページ5

｢宇井先輩、明日午前4時にモーニングコールしてください｣

｢私の休日を台無しにするつもりだよね｣


特等である私にとって休日はなかなかないので
目が覚めるまで寝ていたい。
だが、そんな小さな幸せを邪魔しようとしている。


｢明日は久しぶりのオフなの。他の人に頼んでよ｣

｢えー……宇井先輩の声だと、起きなきゃ、って思うんですよー｣

｢Aの中で私はどんな人なの……｣

｢……怖い上司｣

｢はい、そこの書類、今日提出だからお願いね｣


指さした先には数十枚ほどの書類
その日の書類の提出時間は午後4時と決まっている。
あと1時間しかない。


｢無理ですごめんなさい｣

｢明日の4時になにかあるの?｣

｢明日は朝早くから街の見回りっていうか……｣

｢へぇ…そんなのがあったんだ。どこを回るの?｣


特等なのに知らないんだ、
書類増加しそうな言葉を飲み込んで説明する


｢4時半にCCGを出発して1日かけて喰種が出そうな所とかをチェックするんですよ。一人で｣


大変そうだね……と苦い顔で見守る宇井だった。

────────────


外がオレンジ色に変わり始めた。
やっと帰れる、とあくびをするA
そんなAをよそに、黙々と書類を完成させる宇井


｢宇井さん、4時過ぎましたよ｣

｢うん。これ今日提出じゃないからね｣

｢うわ、騙した｣

｢騙される方が悪い。さて、帰って目が覚めるまで寝てようかな｣

｢モーニングコールは｣

｢寝てます｣

｢はぁ、悲しいなぁ｣

｢はいはい｣


相変わらずの冷たさ
しかもパソコンと向きっぱなし

話す時は相手の目を見て、
義務教育で習わなかったんですか

────────────

ピピピピ…………

午前5時ちょうど

Aの部屋にアラームの音が響き渡る。
が、すぐに別の音に変わった。
それは着信音
寝ぼけていたAは相手を誰だか見ずに出た。


｢もしもぉし……｣

｢おはよう。ほら、今日は一緒に見回りでしょ｣


一緒……?

跳ねるように起き上がった
携帯の中から笑い声が聞こえる


｢い、いいい今準備します!!!｣

｢待ってる｣

────……

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