宇井 郡・短編集 【東京喰種】

スケジュール 2 ページ38

金曜日


｢おはようございます…｣



特等は自分専用のワークルームが貰えるので、顔を合わせようと思わない限り、会うことはない。


不幸中の幸い、か



｢あれ、Aちゃん元気ないね?どうした?｣


｢倉元さん…｣


｢えっ!?なんで泣いてるの!?俺なんかした!?｣



引き出しから2枚のチケットを出して見せた。


｢これ…｣



｢A!!｣



突如入ってきた宇井さん


えええええ、なんで入って来るの!?



入り組んだこの部屋で追いかけっこが始まる。


特等に対して反抗的な態度だと思うが、今はそんなの考えている場合じゃない。


この仕事部屋にいる捜査官の視線が痛いよ…



｢さよなら…っ!!｣



ここから出てしまえば、CCGなんて大きいからこっちの勝ち。


どこまでも追いかけてきたら女子トイレに逃げ込めばいい。


今日は外での捜査は無いはず。



｢Aっ!!｣



きっと差は30mくらい


このビルもなかなか入り組んでいるから逃げ場はたくさんある。


────────



｢はぁ、疲れた…｣


あれから走ること10分


今は逃げきれた自分を褒めよう…



｢あ、チケット1枚しか持って来てない。机の上に置いてきちゃった｣



まぁ、一人で行くからいらないんだけど…ね



｢もう12時… 食堂に行くか。まて、宇井さんいつも食堂派だ…｣



あ、そうだ。


……


目の前には大きな家

何度か来たことあるけど本当に住みたい。



ピンポーン…


｢はーい｣



中から声がして、ドアが開く



｢あ、かくまってください｣


｢かくま…?｣



────────


テーブルの上に置かれるコーヒー

シャトーの人達はコーヒーをいれるのが上手い。



｢いやー、ごめんね六月さん｣


｢大丈夫です。でもなぜシャトーに?｣


｢特等に追いかけられてまして｣


｢戻った方がいいんじゃ…｣

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