宇井 郡・短編集 【東京喰種】

帰り道 ページ35

｢狙いは女性?しかも黒髪の?｣



最近、一定の場所で喰種による被害が増えているらしい。



しかも、被害者は全て女性


共通点は、｢黒髪｣



｢誰が捜査に…｣



誰が行くか話し合おうと、話題を上げたらみんなの視線が一気にこっちを向いた。




｢私が行きます…｣



街で歩いていたら女に見間違えられてスカウトされた事がある。


ナンパだって体験済み。



それを有馬さんに話したら、


｢女役にピッタリだね｣


と言われた記憶がある。




アタッシュケースを持ち歩く男の後ろ姿を喰種は女だと見間違えて襲ってくるのか…?



────────



｢はぁ… 喰種駆逐できたら嬉しいけど、女に見間違えられるのは嫌だな｣



ついでに言うと、米林二等に歩き方をレクチャーされた。


どこから情報が流出したのか…




｢!!｣



前方に黒髪の女性を発見


同時に後ろから足音も聞こえた。



ごめんなさい、囮になって下さい…!!




｢あっ!!忘れ物しちゃった!!(裏声)｣



持っている鞄をあさるフリをしてから回れ右をして小走りで逆走。



そして角を曲がってストップ


少したってから戻って、男の後ろにつける。



｢狙ってるな〜きっと｣


クインケを展開させる音は意外と大きいから次こそバレるか…



(赫子!! 羽赫か…!!)


遠くから狙って仕留める作戦か!!



｢逃げて!!｣



驚いて振り向いた女性の後ろには鬼の形相をした喰種が迫っている。



一か八かで投げたクインケが喰種の背中に刺さり、女性の横に倒れた。



…一般人の前でどう仕留めるか…




｢! った…｣



油断してた。


羽赫が腕をかすり、血が出てくる。



しかもかなり深い。




｢あの…刺さなくていいんですか?｣


｢え?｣



捜査官でもなんでもないはず…


怖くないのか?



｢あ、ごめんなさい。医療班の者です｣



｢あ、いつもお世話になってます…?｣



とりあえずクインケを抜いて心臓に刺した。



｢まさか狙われていたとは思わなかったですよ｣


｢気を付けてくださいね｣



｢はい。あ、その腕…｣




忘れてた。


血がどくどく流れて、コートの袖まで赤く染まっている。

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