宇井 郡・短編集 【東京喰種】

勘違い距離 2 ページ26

｢うっ……｣

｢ひどいですね…｣



｢A、大丈…夫…｣



しまった


心配して私に伸ばしてくれた手をはらってしまった｡



｢ごめん、なさい。大丈夫ですから｣



逃げるように誰もいない所へ走る。


なんで逃げたの?
って聞かれたら、一人の捜査官に喰種がたくさん来ると予想したから とでも言っておこう。



クインケを展開して喰種を待っていたら予想通り

1人の捜査官に20人位の喰種がかかってくる。


正直この予想、当たって欲しくなかったけど…




(これから行く所は喰種組織です。アオギリではないけれど、頑丈な甲赫の持ち主がたくさんます)


(へー…どれ位その甲赫強いんですか?)


(分離出来る奴も入れば、両手で扱う奴もいます)


(甲赫すごいですね…)



以前、その資料を誰かに説明してもらったのを思い出した。



女性捜査官に甲赫のクインケを持たせるのはどうかと思ったけど、ここにきて役立った。



｢A、危ない!!｣

｢慣れてますからっ!!｣



有馬さんの修行の成果

クインケを持ってない時だって仕掛けてくるあの人


さらには終わったとおもって汗をふいてるときにだって仕掛けてくる。



休む間もねぇのかよ

って思ったけど、意外と成果があって嬉しい。



｢はーっ…終わりました!!｣



数分後には片付け終わったA

爽快な笑顔で皆のもとへ戻る。



あ、クインケしまわないと。

どうやってしまうんだこれ?


いつも別の人にやってもらってたからなぁ…



｢A!!｣

｢Aちゃん!!危ない｣

｢後ろ!!｣



｢後ろ? あ…｣



しまった、油断してた



いつの間にか口の中は血の味

力が入らなくなる体

ぼやけてくる視界


最後に見えたのは走ってくる宇井さんの姿…



────────

宇井side


ひと仕事終えたA

いつの間にあんな力をつけたのか…


｢A!!｣


って、聞こえてないし…


クインケに夢中になってなにしてるんだろ



｢Aはクインケのしまい方を知らないんですよ｣


｢! 半井上等｣

｢アカデミーで習ったし、クインケを渡される時にも教えてもらったはずなのですが…｣



Aらしいな…

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