宇井 郡・短編集 【東京喰種】

バレンタイン (2) ページ2

青色が好きな彼女にしては珍しい赤色のラッピング
中には手紙が入っていた。

ニコニコしている彼女
手から顔に視線を移す途中、首元に目がいった。


｢ネックレス似合ってるね。誰かからのプレゼント?｣

｢はい。大切な人から。
告白と一緒に貰いました｣


大切な人。
婚約者でもいるのだろう、と解釈した。


｢これ、私が入社して間もない頃、
宇井先輩がプレゼントしてくれたんですよ?
3月14日に。宇井先輩、25歳くらいかと……｣

｢……え?｣

｢“これ、好きな人に渡すんだ”って言って、
私に見せてきたんです。そしたら私に押しつけて逃げて行ったじゃないですか｣


どんな遠回しな告白だよ……!!!
その時に戻りたい……


｢ごめん……記憶にない……｣

｢次の日、二日酔いでしたもんね。
その夜、タケさんと2人で飲んでたって……｣


だから記憶が飛んだのか。
いやでも、忘れちゃダメな事だろ……


｢同じの見つけたんですけど、高くて高くて……
凄い物をプレゼントされたんだなぁ、と
後から思いました｣


目の前には柔らかく微笑む彼女
なんて幸せなのだろう。

目を閉じて少しかがんでください、と促された。
数秒後、首元には冷たい感覚。

いいですよ、と言われ首元を触った。
何か……いや、ネックレスが付いている。


｢一緒ですね｣


今の私の顔はきっと真っ赤だ。

遠回しな告白
考えなくてもすぐ分かる。
“一緒”
その単語が嬉しかった。

────────────


ﾊｲﾙ ｢あ、郡先輩チョコ貰ったんやね｣

｢別に……｣


カサカサと開けて、中の手紙を取り出す。

開いてみると、彼女の連絡先

顔がニヤけてないか心配になった。

────……

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