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カツ、と時針が17時を指した。人気のない路地に立つA__いや、グアン・エレノアは、腰辺りで揺れる黒髪をつまらなそうに触りながら"協力者"が運転する送迎車を待つ
しかし、スパイを五年やってきた中でも他人と共同任務は初めてだった。
文書曰く、"凄腕スパイ"とのことだったが、正直凄腕なんて言葉信用できない。そんな大層な渾名がつくのはあの男だけだ。
『……まさか、ね』
______黄昏という、影の英雄のみである。
俯いてズレた眼鏡を掛け直し、不意に横を向くとヘッドライトが白く光っていた
キッ、と目の前に停止する黒塗りの車が停止する。
車窓には白く輝く月が映り込んでいた
『月が綺麗ね』
「…裏にあるのは太陽だがな」
車に乗り込んで呟くと、運転席の男はそう返した。
これは組織内で作られた俗に言う合言葉。誰にも怪しまれないような、且つ様々な状況に合ったものを使い分けなければならない。
『……この任務の条件は覚えてるか』
「あぁ、勿論」
今そう告げた通り、この仕事には3つの条件が課されていた。それが以下である
❶グエン・エレノアに扮したスパイの単独行動は認められない。
❷スパイは互いの正体を知り合ってはならない。
❸側近に扮したスパイは常に警戒体制で任務を遂行しろ。
このように幾つか条件が掛かることはしばしばあった。理由は様々あるが、この話はまた別の機会にしようか。
窓から差し込む街頭の光を眺めていれば、前にいる男が口を開いた
「グエン・エレノアは西国初の女性大臣とだけあって、四方八方から命を狙われている。俺のことは護衛役とでも思ってくれ」
『…いつの時代も女は特別扱い、か…』
嫌味を含めてそう呟いた後、Aは暗い顔で俯いた。
「………」
運転中の男も、スッカリ黙り込む。
何があったのか聞きたいところだが、任務の条件上相手のことは何も聞き出せない。知ったところでどうする、と言われればそれまでだが…
___________数分後
早くも二人は会場の受付をパスしていた。俗に言う顔パスである
因みに本物の大臣とその側近は本日別の催しに参加しており、こちらに出席してくる心配は無い。
「グアン様、陸軍大臣がお呼びです」
突然、側近に扮した彼がそう耳打ちしてくる
続けて、
「要警戒」
と言い、私の横から一歩下がった。
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専務(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます!!ゆっくり更新する分面白いものを作っていこうと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2022年4月30日 18時) (レス) id: 37a652934b (このIDを非表示/違反報告)
メロンパン(プロフ) - とっても面白いし設定も素敵すぎます、、!更新頑張ってください💗💗 (2022年4月29日 8時) (レス) @page6 id: 1cabb4723c (このIDを非表示/違反報告)
専務(プロフ) - 加茂&夏油の嫁さん» レス遅れてしまい申し訳ありません!!本当に稚拙な文章しか書けませんが、コツコツ更新頑張ります!ぜひよろしくお願い致します(>人<;) (2022年4月23日 23時) (レス) id: 37a652934b (このIDを非表示/違反報告)
加茂&夏油の嫁(プロフ) - めっちゃかっこいいです!更新頑張ってください! (2022年3月28日 13時) (レス) @page3 id: ef07d69be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:専務 | 作成日時:2022年3月11日 18時