「よかった」 ページ35
「レオくん！こんなところにいた！」
空中庭園の扉が音を立てて開かれる。
レオは顔を外に向けたまま振り返ることすらせず、それに手をひらりと振って応じた。
いつもだったら「あっ！セナ〜！」と人懐っこい笑みを浮かべてそう言うはずなのに、何だか違和感があった。
「……あのさ、星見のこと、聞いたよ」
“星見”
その言葉にレオが少し反応したのがわかった。
「星見Aが今までどんな扱い受けてきたか聞いた。スタプロで何があったか聞いた。あれは、あの子は……！」
「セナ、知ってる？」
苦しそうな、衝動に駆られたような泉の声に対して、レオの声はぞっとするほど静かだった。いつもあんなに賑やかな青年とは同一人物とはとても思えない、凪いだ海のような声だった。
「あの子テンシのこと大好きなんだって」
その時、泉はようやく気がついた。
泉はレオがずっと窓の外、空を眺めているのだと思っていた。でも違った。レオが見ていたのはもっと下。
彼はずっと歩道をあんずと並んで歩くAを眺めていたのだ。
何を話しているのかは流石にわからない。が、楽しそうなのは間違いなかった。
泉が気づいたのをレオも察したようで、
「なぁセナ、あの子本当に楽しそうに笑うだろ？テンシの話してるときとプロデューサーとして駆け回ってるときが一番楽しそうなんだってあんずが言ってた！」
と笑って言った。
先程までの凪いだ海の表情とは打って変わって、今のそれはまるで嵐の海のようだ。
感情を堰き止めていたダムが崩れてしまったかのようにレオは声を荒らげる。
「本当にテンシのこと愛してるんだなっ！それに手がけた企画も凄かった！本当に、」
「レオくん……」
ここまで来たら嫌でもわかる。
レオの言葉に嘘はなかった。けど同時にAのことを嫌ってもいなかった。
彼はただ、
「……っ、本当に……あの頃の夢ノ咲にいたら、間違いなく道具扱いされそうなぐらい、凄かった……！！」
彼は安心していたのだ。
家名の著名さ故にさんざん利用されて、消費されてきたという彼女が。英智を崇拝し、心から愛している彼女が、自分と同じ目に遭わなかったことに。
もし予定通りAが夢ノ咲に編入していたら、きっと彼女は第二の月永レオになっていた。
それどころか、もし二年前、ジャッジメントの頃にAが編入してきていたら……考えたくもない結果になったであろうことだけは確かである。
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紅鮭(プロフ) - 蘆花さん» 温かいお言葉ありがとうございます！！蘆花さんの琴線に触れたようで何よりです……！石が尽き次第戻ってくるので気長にお待ちください🫶🏻 (3月29日 9時) (
レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - うわぁぁぁぁ…レオくん…レオくんッッッッ！！！もー…レオくん…としか言えない…！素晴らしすぎです！更新、ほどほどに待ってます！ (3月28日 21時) (レス) @page35 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえて嬉しいです！頑張ります！ (3月8日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - すっごい面白くて引き込まれました…！更新頑張ってください…！ (3月7日 18時) (レス) id: af9a9b1d28 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - ペネロッペさん» わーっ！コメントありがとうございます！！ペネロッペさんの言葉を励みに頑張ります👊🏻❤️🔥 (1月3日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
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