with Knights ページ29
「あ〜、お前みたいなのが夢ノ咲にいなくて良かった！」
そう吐き捨てたレオに、Aは『……は？』と地を這うような声で言った。
それに負けじとレオも「ん？」と表情をほとんど動かさずに応じる。
結論から言うと、千秋の予想は面白いほど外れた。
あの後スタプロを経ち、コズプロに挨拶を済ませたAはすぐさまニューディに向かった。
珍しいことに、偶然Knightsの全員が揃っていたためこの機会に自己紹介をしようと司が発案し、事に至ったわけだが……
『もう一度、言ってくださいます』
「うん？この言い方はまずかったか？じゃあ訂正！今までお前に出会わなくて良かった！」
「ちょっとレオさん！私のchildhood friendになんて口を！」
司が怒るのさえ気にも留めず、レオはそう言った。凡そプロデューサーに対する態度ではない。
以前のAならこの剣のような美貌の男に睨まれただけでメソメソしていたかもしれないが、この数ヶ月でAは色々と成長していた。
これまでの事を思い返して自分に非がないことを改めて確認すると、『言いたいことあんなら続けろよ』と言わんばかりの目でレオをまっすぐ見つめ返す。
そんな火花が見えそうな雰囲気に……泉、凛月、嵐は困惑していた。
月永レオは人が好きだ。意味もなく人を傷つけるようなことはしない。ましてや人を傷つけるような嘘なんて絶対につかない。
そう確信できる信頼と絆と経験がある。
対してこの星見とかいうプロデューサーはと言うと、
司は彼女を幼なじみだと言った。凛月は会ったことがあると言った。そして「Aはアイドルに対して不利益をもたらすことは絶対しない」というのが二人の意見だった。
「ちょっと月ぴ〜、急にバチバチしないでよ。Aとなんかあった？ルカちゃんになんかされた？」
「だとしたら生きてないと思うわよォ、この子」
なんかよく知らんが、ルカちゃんという子に手を出すと自分は殺されるらしい。
『フーン、ここって憲法通用しないんだ』と軽く絶望して思わず天井を仰ぐ。
いや、Trickstarの皆様方から話を聞く限りトンデモないところなのは知っていたが、自分が思っていたのとだいぶ違ったのだ。
ここに来る前にTrickstarとした約束は三つ。
一つ、瀬名泉に真の写真を要求されても応じないこと。
一つ、朔間凛月に真緒の写真を要求されても応じないこと。
一つ、瀬名泉に飲み物を要求された場合水を渡すこと。間違ってもお手製スポドリなんか渡さないこと。
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