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そう、大切なものだったのに。
襤褸のようになってしまったシュシュを見ていると言いようのない悔しさが込み上げてくる。
彼はそんなあんずの表情を見、少し考えてから口を開いた。
「うん、何？……“手を出して”？こう？」
彼に言われた通りに手を出せば、彼は無二の宝石を触るような手つきでポーチから何かを取り出してそこに乗せた。
あんずはそれを見て……一瞬、時が止まったような気がした。
「……なんで？」
「……」
「なんで、これ……星見ちゃんのシュシュ、だよね？」
そう、彼があんずの手に乗せたのは。Aのシュシュと瓜二つ、否、同じシュシュ。
異なる点があるとすれば二つ。一つ目は彼が出したものは大切に保管されていたようで全く汚れていない点。二つ目はAのものとプリントされている猫うさぎの模様が反対……つまりは対称的になっている点。それぐらいだ。
偶然同じものを持っていた？
それは違う。このシュシュはとっくの昔に廃番になっている。
さっき話を聞かせてくれた翠がそう言っていた。
どれだけ探しても見当たらなかったのに、星見が着けているのを見て奇跡だと思った、と。
あの翠が血眼になって探しても見つからなかったグッズをこの人が購入したというのは考えづらい。
疲労で鈍くなった脳をなんとか働かせ、あることに気づく。
───そういえば、このシュシュは2個セットで売られていた。
それに気がついた瞬間、あんずの脳内にある可能性が浮上した。ひとつの可能性でしかなかったそれは、目の前の彼の表情を見た瞬間確信に変わる。
「……まさか」
彼は静かに頷いた。
なんで、なんで気がつかなかったのだろう。
その何処か諦めたみたいな笑い方も、ふとした時に見せる表情にも。
衝撃のあまりに声が出ない。頭に浮かんだどの言葉も相応しくない気がしてならなかった。
「……」
先に静寂を破ったのは彼の方だった。
彼は言った。「頼むから、約束してほしい」と。
あんずの手の上に乗った二対のシュシュのように、Aそっくりの笑顔でそう言った。
＊
「星見ちゃん！！」
それはAが帰路につこうとしたちょうどその時だった。
あまりに予想外な声だったので、自分の名前が呼ばれたのだと理解するのに数秒を要した。
『せ、先輩？あたしより先に帰ったんじゃ……』
「これ！」
動揺で思わず素が出たAに構わずあんずが突き出したのは水色のシュシュ。
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紅鮭(プロフ) - 蘆花さん» 温かいお言葉ありがとうございます！！蘆花さんの琴線に触れたようで何よりです……！石が尽き次第戻ってくるので気長にお待ちください🫶🏻 (3月29日 9時) (
レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - うわぁぁぁぁ…レオくん…レオくんッッッッ！！！もー…レオくん…としか言えない…！素晴らしすぎです！更新、ほどほどに待ってます！ (3月28日 21時) (レス) @page35 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - らむさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえて嬉しいです！頑張ります！ (3月8日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - すっごい面白くて引き込まれました…！更新頑張ってください…！ (3月7日 18時) (レス) id: af9a9b1d28 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭(プロフ) - ペネロッペさん» わーっ！コメントありがとうございます！！ペネロッペさんの言葉を励みに頑張ります👊🏻❤️🔥 (1月3日 21時) (レス) id: cc18d6b067 (このIDを非表示/違反報告)
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