[鬼滅の刃]同僚の先輩兼恋人にとても恋慕されているんだが[宇髄天元]

『ただいま』 ページ16

流石はバレンタイン前。

スーパーに入れば、いつもの野菜コーナーより先にバレンタインフェアの看板やチョコが私の目を引いた。


いろいろな形をしたボンボンショコラ、キャラクターもののお菓子の詰め合わせ、バレンタイン仕様のパッケージにアレンジされた有名なチョコレート菓子などなど。

それらが綺麗に陳列されたスペースの周りには、チョコを買い求めてやってきたお客さん達がちらほらといる。


そこは既製品ばかりなので、私はもう少し奥の材料コーナーへ向かう。

そこにある材料には、それを使ったオススメのスイーツが吹き出しで貼られている。

それを見ながら棚の前を歩いている途中で、私はピタリと足を止めた。


...あげてばかりじゃなくて、たまには二人で食べるのもいいかもしれない。


私はそのチョコを手に取り、いくつかのフルーツやお菓子と一緒に買い物カゴに入れた。






『ただいま』



玄関のドアを開けてそう言うも、いつもなら返って来る宇髄さんの出迎えの言葉はない。

一瞬どこか出掛けたのかと思ったが、宇髄さんの靴は玄関に履き揃えられたまま。

何より、宇髄さんの気配は私が家を出る前と変わらず自身の自室にあった。


買ってきたものを冷蔵庫などに入れて、私は宇髄さんのマグカップに珈琲を注いだ。


朝食を食べてから私が帰ってくるまで、宇髄さんの気配はずっと自室にこもったまま。

そんな状態で作業していれば、本人が気付かずとも体は多少なりとも水分を欲しているだろうと思ったからだ。


宇髄さんがよく食べているお菓子も一緒にお盆に乗せて、静かに宇髄さんの部屋へ向かう。



「だーかーらー！」



そんな怒声が飛んできたのは、私が宇髄さんの部屋のドアを開けたのとほぼ同時だった。

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