寒暖バンケット！ ページ16
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「よし、こんなものだな。お前たち、料理を寮へ！」
「「「はっ！」」」
料理を作り終えると、ジャミル先輩の指示に従って寮生はそれらを運び始める。
「ところでオマエらこそ、なんで冬休み中なのに学園に残ってるんだゾ？」
「……それは……」
「…………」
「それについては、話すと少し長くなる」
「なんだが厄介ごとの匂いが……」
グリムのふとした質問が答えにくいことなのか、一同、完全に黙りこくってしまった。
「スカラビアは全員、寮長の命令で……」
「帰りたくても帰れないというか……」
「寮長命令……？」
小声で言う寮生の言葉に、私は首を傾げる。えっと、スカラビアの寮長って……。
ーーー
「オレはスカラビア寮寮長のカリム。こっちは副寮長のジャミルだ。よろしくな」
ーーー
あっ、そうだそうだ。入学式にグリムの炎でお尻を燃やされた、ターバン巻いた人だ！でも前会った時は、そんな厳しい感じは全然なかったけど……。
「シッ。やめないかお前たち。もとはといえば、俺たちの責任だろう。
＿＿さ、料理が冷めてしまう。早くスカラビアへ向かおう。
スカラビアはいつでも夏のように暖かい。ちょっとした南国気分が味わえると思うぞ」
「やっほー！そんなの楽園なんだゾ〜♪ ユウ、早く行こう！」
グリムはウキウキ気分でジャミル先輩に着いて行こうとする。私も彼を追おうとするが、少し妙に感じ留まる。
よく考えると、この学園に来てからこんなおいしい話あった？基本的には誰もが自分の得の為に動き、他己的な行動に走る人は見たことがない。
やっぱりないない！怪しすぎる！
「グリム、ちょっとまっ……」
「君たちが来てくれたら、寮長も喜ぶだろう。
＿＿来てくれるな？」
グリムを引き止めるために声をかけようとした時、ジャミル先輩が私の前に立ち塞がった。
彼の目を反射的に見た時、フラッと意識が遠のいた。そして彼からの誘いに私の口は勝手に答える。
「はい、喜んで！」
「……君を招待できてとても嬉しいよ。ユウ。
さあ、行こう。スカラビアへ」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2022年9月5日 19時
