1.その色は ページ1
初めて見たんだ。
儚くも魅惑的なその色は。
柔らかい印象かと思いきや少しオトナな強い印象。
4月、小学６年生に上がって新しいクラスも慣れた頃。
初めて行ったフラワーパークで見た長い花を下に垂らせて咲いていたその花。
一目見ただけで思った。ピンときたんだ。
『このお花、とてもきれいだ…。』
あれから4年、私はこれから高校生になる。
今までの生活とはガラリと変わった。
まず、家が違う。知らない土地である。
これでわかる通り、私は引越しをしていた。
理由はありきたりである。父の転勤だ。
そして、小中の友達とはなかなか会えなくなった。
知り合いも誰一人としていない。
あの日以来毎年通っていたあのフラワーパークも、
もう行けない。
段ボールの箱も一通り片付いた今、私は暇を持て余していた。
『そういえば、近くに公園があったよな…』
公園の名前はなんだったか。そんなのはどうでもいいか。
と、1人で自問自答をしながら階段を降りた。
『お母さん、少し外出てくるね〜』
まだ段ボールの箱が散乱しているリビングに一声かけて、玄関に足早と向かった。
『ん〜、ここら辺だったはず〜…』
家を出てから自然豊かで整備された通学路である歩道を歩く。
何回みても立地が良いなぁ。と普通のJKが思わない事を思う。
歩道の端には花壇が並んでおり、合間合間に木々が生えている。
まさに理想の通学路と言えるだろう。
『ここの突き当たりを左だったはず…よし！合ってる。』
スマホの地図と記憶を照らし合わせながら進む。
『おぉ、ここかぁ。』
それなりに広く、遊具も整備されていて、子供たちもよく見かける。
裏は林なのか森なのか、木々が生い茂っていた。
自然豊かな公園だな。と思いながら何となく、右側を散策していた。その時だ。
人ひとりが通れそうな小道を見つけた。
暗くて見にくいが、奥に光がさしているのがわかる。
『隠れスポットかな？』
なんて少しウキウキしながら小道の奥へ奥へと進んだ。
そう。それはあの日以来の衝撃だった。
まさか、また
けれど、それだけではなかった。
【先客】が居たのだ。
？？「…ん？【みだれ】か？」
黒髪で色白な眼鏡をかけた彼。
それは、それは、とても絵になる光景だった。
つい口に出してしまったんだ。
『とても、綺麗だ…。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いちゃ | 作成日時：2022年4月18日 0時
