CENTOOTTO 少し昔の物語 �� ページ8
――――――これはほんの少し昔の物語
時は1986年
『……とう、さま……行って…来ます……』
「……………」
返答もなく、ただただ静かな部屋。Aは後にする
"A"
ｶﾞﾁｬﾘと閉めた扉をゆっくりと開け、父アニマが顔を出す
『父様……？…………ひゃっ』
アニマはAを抱き上げた。いつも見ている歪んだ愛情を持つ父ではない。正しい愛情を持った父の顔だった。
「はぁ〜〜〜。やっぱり心配だ……一人で大丈夫かい？」
『……大丈夫………じゃないです……怖い……よ……父様……っ……』
「この帽子を持っていきなさい……。あと、この日焼け止めも持って……この洋服を着なさい……Aを守ってくれるよ……もうすぐ……もうすぐだからね……」
父がもうすぐ、もうすぐと言って何年経ったのだろうか……
『ありがとう父様……』
「お前だけは絶対に私を…………いや。そろそろ時間だな……」
Aの額にキスをする
「……いってらっしゃい………」
―――――私の可愛い堕天使サマ
☆☆☆☆☆
今回の目的地はエジプトだ
どうやら発掘調査が行われるらしい。そこで史上最年少博士にお声がかかった。
だが、この物語の大事な話はそこでは無い。
最も大切なのは…………
☆☆☆☆☆
その日は特に暑い日だった
太陽が照りつけ、Aの体にはとてつもない負担となっていた
『……ぅ………う……』
日陰で休む彼女を他の学者たちは蔑むように見ていた
たかが子供
子供に何が出来る
これで専攻が……
などと、蔑むことは人それぞれだ
『…ぅう………ﾊｧ…ﾊｧ…………っ？？』
休んでいるAに水を差し出す者がいた
「……ガキが……大人しくしていろ」
『むぅ………失礼な人です……これでも……博士なんですけど………ぅ……う……』
「そうか……その博士が寝込んでたら意味もないな。」
『…むぅ……あなた…名前は？』
「ソリッド・ナーゾだ」
Aは目を細め男をじっと見つめる
『ヘェ……』
「……お前はA・コゼンティーノだったか」
『ははっ。よく覚えてるね、キミ。私の事なんて誰も覚えないんじゃあないかと思っていたのだけれど』
「………………」
どこか先程とは違う何かを感じる。何か……
『……面白い人達だ。ふふっ。あと2日間よろしくお願いしますね』
そう言うとAは何も無かったかのように立ち上がり、発掘の現場へと戻っていった
「何なんだ…あのガキ……」
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