にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ16)

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君との始まり⑥ ページ16

sideあべ

デビューと同時にSnowManのマネージャーになったAちゃん。オレはたまに相談受けたりするけれど、基本的には一歩引いて皆とAちゃんの仲を眺めていることが多かった。

翔太は照れてるしあの感じだとそういう意味での好きだなとか、舘様は読みづらいけどたぶんああいう意味での好きだなとか。

……やっぱりゆり組から探りたくなるのは、ゆり組担としての宿命なのかもしれない。

でもこのゆり組さんが、オレとAちゃんが仲良くなるきっかけなんだよね。その点も含めてゆり組は大正義になった。

「エモい。……ニカ千ぶりかも。」

ある日、Aちゃんがそう呟いているのを聞いた。目線の先には写真撮影中のゆり組。……これは、きっとそうだ。思い切って声をかけた。

……ゆり組のことですか、って。

そしたら、ちょっと顔を赤らめたAちゃん。聞かれたことが恥ずかしかったのかな、でもそのとおりだと答えてくれて。

そこからは勢いのままに「オレも(ゆり組が)好き！」って端折って言った結果、目が点になってた。もちろんゆり組のことだと補足したよ？

「エモさの塊過ぎて……。ちょっと違うかもしれないですけど本当運命の人ってこういうことなのかなって。」

「だよね！やっぱりゆり組は別格！」

そんな話をしていくうちに、いつの間にかヲタ友みたいになっちゃって。お互い写真(もちろんゆり組の)や、その日に見かけたゆり組エピソードを共有したりとか。

気づけば本人たちからも認知されているゆり組担の集まりになっちゃったんだよね。

あとはなぜだかAちゃんといると心穏やかに過ごせる。ひかるもなんだけど、同学年っていうのがちょっと作用してるのかな。自然と笑顔も増えた。

佐久間から最近ちゃんと休めてるみたいだねって言われたときは、特段睡眠時間とか変わってないのになと思ったけど、しばらくしてからAちゃんのおかげかもと思うようになった。

とっつきやすいように、と心で思っているからか、自然と柔らかい表情が出るようになって。

……メンバーの様子を見ていたからなんとなく分かる、この気持ちの正体。まさかオレまでこうなるとは思わなかった。

オレはアイドルだ。想うのは自由だけど、それ以降はその気持ちがいつどんな火種になるか分からない。

だからただのゆり組担としてAさんと関わることに決めた。