にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ15)

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君との始まり⑤ ページ15

sideいわもと

デビューするにあたり、メイン担当のマネージャーが代わる。リーダーであるオレには他のメンバーより早くそう伝えられていた。

そしてこれまで担当してくれていたマネージャーさんも同席の上で事前に面談もして。

部屋に入って現マネージャーさんの隣に座っていたAさんを見たとき、これはどういうことなのかと思った。

明らかに俺と同じくらいか年下に見えたから。現マネージャーさんは30代半ばだったからてっきりそれくらいの人だと思っていた。

そこから話を聞いてみると同学年で以前はマネージャー職ではなかったとのこと。ただ話しているところを見る限りではしっかりしているように見受けられた。

どの目線から見てるんだよって話なんだけどさ。

実際、マネージャーが交代したあと、それこそ最初は戸惑う部分もあったけど、割とすぐ特に気になるような事はなくなって。やっぱこの人すごいなって思って。

「岩本さん、ちょっといいですか？今度のシングルの振付の件で。」

「ん、いいよ。」

リーダーってのもあるし、振付もよくやってるからAさんと話す機会は他のメンバーよりも多い(と思ってる)。

だから勝手にAさんと距離が近いのはオレじゃね？とか思ってたんだけど。

……ふっかと楽しそうに話しているところを見た。そりゃね、メンバーと何かしら話するに決まってんだけどさ。

「そういえば、この前ふっかと話してたよね。」

「深澤さん？ああ、私がポケモンの靴下履いてて、そこからちょこっとポケモンの話を……。」

他の人と話してるのを見て気になる……嫉妬してるかのようなこと言っちゃったわ。言ったあとに何言ってんだこいつ、って自分の口封じたくなった。

で、この見られたくない姿を目撃していたのが誤魔化すのが大変そうな人物。

「ひかる、ふっかに嫉妬した？」

「ただなんの話してたのかなって気になっただけ。」

「そうなんだ、目がちょっと怖かったけどね。」

「マジ？……うわ、どうしよ。」

「アハハ！やっぱり嫉妬だ。」

阿部はやっぱり見抜いてくる。みんな面白いな、なんて言ってこの状況を楽しんでいるあたり、他のメンバーのそう言うのも見てきたんだろう。

阿部が見抜くのであれば、もしかすると本人にもそれが伝わってるかもしれない。……なんとか表に出さないようにしなきゃな、感情。