【銀魂】 武士は食わねど高楊枝

まさかの？ ページ16

「・・ッ、やっぱり」



とある路地裏

かなり深いところまで来た。


陰に潜んで取引しているのは男二人。

手には白い粉の入った袋を持っているからクロで間違いないだろう。

麻薬の本物を見たことはないが、取引している片方が天人だということを見ても一目瞭然だ。


相手は男二人だが、私なら勝てないこともないだろう。

そう確信。

ザキさんに応援呼んでもらうよう頼んじゃったけど、必要なさそうだ。


息を大きく吸い込んで、バッと陰から飛び出せば、案の定びっくりした男二人の顔。



「あ、そういえばこういう時なんていうんだっけ・・？」



言葉を発しようとしたものの、良い決め台詞的なのが全く思い浮かばない。

ザキさんに聞いとけばよかったわ、これ。


そんな私の様子に、ずっこける男二人。



「あ、え、と・・そう！！警察だァ！！」



半ば投げやりにそう告げれば、ずっこけたままギョッと顔を見合わせる二人。

その顔にやっぱり確信。

やはり流石私の監察眼だ。



「お縄に付いてもらおう！！」



そう言って、腰にある刀に手を添えようとしたとき、



「お、お縄ァ！？」



一人の男が叫ぶ。



「いやいや、余らはなんの悪ィことしてないぞ！？」

「え？なに今更とぼけてるんですか？」



呆れたように二人を見るが、二人は二人でブンブン首を振る。



「違いますって！！」

「いや、とりあえず来てもらいますから！！」

「違うと言っておるじゃろう！？」

「なんでじゃないでしょ！？貴方たちその手に持ってるものはなんですか！？」


「は？」



ラチのあかない言い合いに、すっかり腹が立った私はビシッとその袋を指さすも、二人はキョトン。

これには全く大きなため息が出てしまった。



「それ、ここでは使っちゃいけないものなんですよ！取引しちゃだめ！！」

「ペットの餌がか？」

「そうそう、ペットの餌が・・って、え？」



復唱していれば引っかかった。・・え、ペットの餌？



「こりゃ余の買ってる花子の餌じゃ」

「麻薬じゃなくって？」

「小麦粉じゃ」

「マジスカ？」

「大マジじゃ」



ぽっかーんとアホ面していれば、天人はゴホンと一つ咳払い。



「つーか、余、央国星の皇子だし」




・


「すいませんでした」



一番隊を率いて駆けつけてくれた沖田隊長と土方さんに頭を下げる。

ただの間違いならまだしも王子を犯人扱いしてしまった。相当ヤバイ。



「お前、反省文な」

「・・ハイ」

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