【utit】黒く染めるハロウィン【A f t e r t h e R a i n】

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出来たてのカレーを一口食べ、一番最初に思ったことはいつもよりも辛いということ。
だけれど、それよりもツッコむところが多すぎて、何も言えない。

「待って……人参デカくない？」

彼方がそう呟いていたため見てみれば、彼方の持っているスプーンの上にはスプーンの半分を埋める人参が乗っていた。
大きいな、なんてボーっと考えたあと、そういえばと思った。

『それ僕切ったやつだ』

「雑かよ……」

初めは順調に切れていたけれど、なぜかどんどんとデカくなってしまった。
めんどくさいというのが大きな理由だが、二人の作業が異様なまでに早かったからという理由もある。
僕が十秒かけてやる作業を二人は二、三秒で終わらせていってしまうのだ。
焦るに決まっているであろう。

「ジャガイモないね……」

「細かく切りすぎたかも」

ジャガイモを切っていたのは確か彼方だったっけ。
そういえば彼方はかなり早く切っていたけれど、なぜかめちゃくちゃ細かく切っていた。
きっと混ぜていくうちに溶けてしまったのだろう。
ルーをもう一口食べたあとで、辛、と口にしてしまう。

『……ルー辛くない？』

「間違えちゃったみたい……ごめんね？」

『許す！！』

そういえばルー選んだのAだった！
Aが買ってきてくれたもの、そう思うと物凄く甘く美味しく感じるような気がする。
僕は口がヒリヒリするのを気にせずに食べ進めた。
今日は水とお茶の消費量がいつもの二倍くらい多かったとか。

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