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お客さんが入ってきたことを知らせる扉に付けられているベルが鳴った。
扉を見てみると、そこにはこの喫茶店の常連客である女の子二人が立っていた。
腰くらいまでの髪を緩く巻いている女の子と、肩下までのストレートの髪の女の子。
数秒間顔を歪めたが、なんとか平然を装い二人に近付いた。

『お客様、何名様で御座いましょうか?』

「二人ですよ。……相川君」

名前を呼ばれてゾクリと背筋に悪寒が走ったのが分かった。
笑顔が引きつるが、そこは持ち前の演技力でなんとか乗り切る。

『……左様ですか…………席、空いているところにお座り下さい』

そう伝えてお辞儀をすると、すぐさまその場から立ち去った。
注文を受けていたため厨房へと行き、大きなため息をついた。
僕はあの、髪が長い方の女の子が苦手、というよりかはとても嫌いだ。
僕に向ける視線や、僕と話す時の態度、緩く微笑むところとか諸々嫌いな部分が多すぎる。
だが仕事私情を挟んでいては成り立たない。
だから取り敢えず……

『彼方ぁ……変わってぇぇえ……』

「なに急に……ビックリしたんだけど……」

彼方に飛びつけば、彼方は驚いたような顔をして僕のことを見る。
注文を沢山受けているからなのか両手には料理を持っていて、とても忙しそうだ。

『…………あの客、来た』

「あー……真冬が嫌いな、ね。……目合わせなければいけるよ、多分。ちなみに俺は目を合わせなくても声が無理だから無理だけど」

彼方は僕に頑張れ、なんていうエールを残して行ってしまった。
しかもさっきから注文を聞いて欲しいという意図を伝えるベルが鳴り続けている。
僕は自分の頬を叩くと、気合いを入れて二人の席へと向かった。

3→←1章 嫌いな常連客 まふ



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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!好きと言って頂けてとっても嬉しいです!更新はかなりゆっくりペースですが、気長に待っててくれると嬉しいです…! (2022年6月6日 16時) (レス) @page16 id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年6月6日 13時) (レス) @page16 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - はおとさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります!! (2021年7月2日 19時) (レス) id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
はおと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新待ってます!! (2021年7月2日 18時) (レス) id: 36f12069ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/  
作成日時:2021年6月6日 9時

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