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お別れ ページ23

「さて、Aくん。」






あたりは静寂。
ピリリとした空気。
威圧感を感じる視線。

全身が冷えるような声。






だが何も不安に思う必要はない。








「君のことだから初めから分かっていたんだろう」



「無論だ。さあ、連れてくならさっさとしてもらおうか。」



「では、最後に君の考えを聞くとするよ

なんで計画をわかっていながらポートマフィアに潜入したんだい?」






「幸せになって欲しい奴がいるんだ。」






紫色の髪。あの時と変わらぬ服装。表情。


紛れもなくボクは「充戯A」だ。






「そいつの為にしてやりたい事が沢山あった。


ポートマフィアに潜入したおかげで今まで以上にサポートできたし、危険も回避できた。

これ以上の幸運はない。

何より、大事な用がまだ残ってるんだ。それを成すために来た。」



「君の言い分はよく分かった。

太宰くんのことも。」







そして静かに言い放ったのだ。








「連れて行け」









その冷たい声と共にSPに腕を掴まれる。



これから起こることを想像しても、不思議と怖くない。








「Aッ!!!!」







「…中也」



「オイ聞いてねえぞ…!てめーが特務課や探偵社にいたことも!…こうなることも知っててここに…」
「悪かったよ

でも後悔はしてない。」





そう言うと押し黙る中也に心の中で謝罪の言葉を呟く。


SPに無理矢理手を引かれると、途端にそいつの身体から血が吹き出た。



焦ることも吃驚する事もなく、ただ「死んでしまった」と思うだけ。



倒れたSPの背後には龍之介がいた。






「また君は…無駄に殺すな」


「…………すいません。」






近寄ることも無く、泣くこともなく。起こることもなく去ることもない。

龍之介はそこに立ち尽くしたまま悔しそうな顔をして去る事も近寄る事もしなかった。






「…芥川、行くぞ。」






中也のその一声にも動かない。






「中也、君は大人だな。」



「…手前の望みって言われちゃ止めらんねえだろ」






仕方ないな、と呟き龍之介の前まで歩いた。


両手を大きく広げて「これで最後だ。」と。






「おいで、龍之介」






そう言うと、ゆっくり背中に手が回った。

組合の長→←罪と罰



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紅月天音(プロフ) - 桜紅葉さん» 本当にありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2017年2月26日 22時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - お返事ありがとうございます。楽しみにしています。これからも頑張ってください。応援しています。 (2017年2月26日 16時) (レス) id: 54de0e772b (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - 桜紅葉さん» ありがとうございます!番外編の件も個人的に考えております。一応まだ終わらないつもりなので引き続き応援よろしくお願いします!! (2017年2月25日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - この話サイコーです。その後談で夢主と太宰さんの番外編が見たいです。 (2017年2月25日 13時) (レス) id: 54de0e772b (このIDを非表示/違反報告)
紅月天音(プロフ) - あらりぶさん» ありがとうございます!不定期な更新ですみません…。もっと早くお話を届けられるように頑張ります! (2017年1月28日 15時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅月天音 | 作成日時:2017年1月17日 21時

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