百十話 ページ10
〜福沢〜
「しゃちょ、分かる?」
福沢「一の鶏だな」
「にわ、とり……?」
肉店主「だいせいかーい」
本当にこのクイズでいいのだろうか
年齢というハンデがある以上、クイズは統一することは難しいかもしれないが、参加者の中には不満を募らせる者もいるかもしれない
クジャクのスタンプなんて、どこに売っているのか
中々に見事だ
花屋では指定の花を見つけるだけだが、意外にも苦戦を強いられていた
Aは薔薇か
棘があるから触らぬように気を付けてなければ
なぜここで、ほとんどの者が足止めを食らっているか、Aのお題のカードを見てすぐに分かった
漢字なのだ
花の名前が
簡単なものから普段は目にしないような難しいものまで
季節的に咲いていない花は図鑑のコピーが用意されている
…………で、なぜAは
「しゃちょ。薔薇、どれ」
読めているのだ?
疑問をぶつけると
「乱歩さんに教えてもらった」
Aの勉強は基本、文字の書き取りと計算のみ
漢字はない
このタイミングで、こんな難しいのを教えたのは、そういうことだろう
花屋では桜のスタンプが押される
最後のスーパーでは親の助けはなく、子供が自力で解かなくてはならない
こちらも花屋同様、選ぶだけ
野菜を
西瓜を果物と認識しているため、先へ進めない者も多い
子供「野菜、三つもないよー」
店員「えー、あるよ。特別に大ヒント。それは丸いです」
子供2「ほら!やっぱりトマトとキャベツしかないじゃん」
最初から西瓜の選択肢は入っていない
「しゃちょ。お買い物してく?」
Aも考えるには考えていたが、全く別のことだった
福沢「いや。今はしない。何か欲しい物でもあるのか」
「ううん」
福沢「そうか。A、答えは解りそうか?」
「うん。乱歩さんに教えてもらった。よしゅー、大事」
確かにその通りなのだが
得意げのAはコソッと正解を伝えてスタンプを貰っていた
さて、これで全て揃ってゴールに行くだけ
和田医師もコンプリートしているはず
していなければ、まぁ……仕方ない
携帯を使うことは禁じられている故に、連絡の取りようがない
手を繋いで歩いていると本屋の前で和田医師と出会った
和田「福沢さん。まだスタンプ集め終わってなかったんですか?」
やはり本屋は最後だと思い込んでいるのか
一着を狙うならそのほうが効率は良いからな
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作者名:まゆ | 作成日時:2024年2月9日 21時