しゃちょ、に拾われた少女の溺愛日々〜虹色少女は異能者ではない〜第三章 (ページ8)

今日:7 hit、昨日:35 hit、合計:7,054 hit

百八話ページ8

〜福沢〜

医師｢はぁぁーー……結局、人間は顔なんですかね｣

例の招待状の日付はまだ先で、いつも通りの日常を過ごして待っていたある日

和田医師から呼び出された

まさかAの診断結果に異常が見つかったのかと不安になったが、どうやらそうではない

Aを看護婦に任せて、診察室で医師と向かい合う

医師｢福沢さんはいつ、Aちゃんに嫌われるんですか？｣

……ああ、娘さん絡みで何かあったのか

医師｢福沢さんはいいですね。Aちゃんに好かれてて｣

言葉の節々に恨みが込められている

いや、怨念のような物が見えるのは気のせいじゃない

福沢｢和田医師。商店街で開催されるクイズスタンプラリー、参加されますか｣

医師｢したいなぁとは思ってるんですけど。何分(なにぶん)、娘に嫌われているもので。私の何がダメなんですかね｣

福沢｢この催しで一着になれば、多少なりとも見直してもらえるのでは｣

医師｢なれますかね｣

自信がなさそうだが、難しくはないだろう

医師は頭が良いだけではなく、運動能力に長けている

本気でやれば上位は狙える

福沢｢それと、私も参加しますので、例え一着になれずとも私に勝てれば、尊敬はされませんか？｣

医師｢え？……え？…………ええ！？え、だって……いや、いいんで…っ、え！？｣

これまで医師には何度も助けられた

たったこれしきのことで返せる恩ではない

それに、立場を自分に置き換えたら他人事には思えなくなる

Aに嫌われるなんて死に等しい

医師｢本当にいいんですか。武装探偵社の社長に勝ったと言っても｣

福沢｢娘さんにだけなら構いません。あまり言いふらされると、社の信用問題になりますので｣

医師｢そう、ですね。そうですよね。はい！では娘にだけ、社長に勝ったと自慢します！！よっし！これでまた娘に好かれるぞ。ありがとうございます福沢さん！！｣

なぜだろうか

一瞬、勝たせたくなくなった

看護婦｢お話し終わりました？Aちゃんがとても寂しがってますよ｣

｢しゃちょ、まだ？｣

福沢｢いや、待たせてすまない｣

両手を広げると勢いよく足に激突する

相変わらず良い音をさせる

福沢｢A。次の日曜日、私と一緒に遊んでくれるか｣

スタンプラリーと言ってもAは分からない

｢しゃちょと遊ぶ？……遊ぶ！！｣

ここまで喜ばれると、これからはもっとAと遊ぶべきだと思った