百二十話 ページ20
〜福沢〜
またもAが斜め上の発想をしていた
よりによってメイド服か
可愛く着こなすだろうが、それを森医師と買いに行って欲しくはなかった
Aがどこにも行かないよう、社に戻るときも抱き上げたまま
「しゃちょ?」
福沢「Aの客が待っている。急いで帰ろう」
「う?……ん!」
ギュッとしがみつくAの頭を一度だけ撫でて、少し急ぐ
安吾「Aさん。おかえりなさい」
特務課の坂口くんは仕事が一段落したと、Aを訪ねてきた
その手には高級洋菓子店の紙袋を持って
安吾「遅くなって申し訳ありません。こちら、バレンタインのお返しです」
「しゃちょ。貰った」
福沢「あぁ、良かったな」
「ん」
紙袋は案外、底が深く中を取り出すのも一苦労
やっとの思いで取り出し、卵糖と書かれた包みに90度近く首を傾げる
福沢「カステラだ。A」
「カステラ……。開けていい?」
福沢「あぁ」
一つずつ包装されているため、開けてもすぐ食べ切らなける必要もない
「しゃちょ。あげる」
不慣れな手付きで開封されたカステラを私に渡して、Aは包みを食べようとするから取り上げ、半分に割って食べさせる
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作者名:まゆ | 作成日時:2024年2月9日 21時