百十八話 ページ18
〜森〜
森「Aちゃん。アイス食べる?」
「いらない」
森「ジュース飲む?」
「いらない」
手を繋ぐことには成功したものの、なぜか気まづい
会話が続かないからだと分かっている
Aちゃんに冷たくされるのは一種のご褒美だと思っていた
でもね!これは冷たいとか、以前の問題で、私に対して無
え、辛い……
私の何がダメなんだろうか
仲良くしたいし、出来れば好かれたい
森「ねぇAちゃん。福沢殿のどこが好きなの」
「しゃちょ、好きじゃない」
森「え……?((パァァ」
「大好きだから」
森「ああ……」
希望が打ち砕かれ絶望を味わう気分はこんな感じだろう
嫌って欲しいわけじゃないんだよ
だってね、ほら。私そんなに好かれてないからさ
森「じゃあ。どこがそんなに大好きなの」
「しゃちょだから、大好き」
ええー何その可愛い理由
私も言われたいっ!!
「ここ?」
森「ん?うん、そう。着いたね。えーっと、Aちゃんのお目当ての服は……あった。これだね」
なぜか都合良く、丁度いいサイズが並んでいる
「これで買える?」
森「千円では足りないかな」
そう言うと五百円も追加した
森「うーん……そうだAちゃん。ここの服は私がプレゼントしてあげるよ。だからこのお金は大切に取っておいて」
「ん」
森「よし。じゃあまず試着しよう」
「う?」
森「サイズが合わなかったらいけないでしょ?だからお店で着れるか確認するんだよ」
「分かった」
森「一人で着れる?大丈夫?お手伝いしようか?」
福沢「森医師。Aと二人で何をしているのかご説明願おうか」
背中に突き刺さる殺気
振り向けば泣く子が更に泣いてしまうよな鬼の形相
ここまでの殺気はいっそ清々しい
森「貴方の好きな服をAちゃんが着たいと言うので、連れて来ただけですが?」
福沢「私の好きな服?」
森「ええ。メイド服」
福沢「…………は?」
「しゃちょの友達。これ、どうやったら着れる。あ、しゃちょ」
試着室のカーテンから顔を覗かせるAちゃんは福沢殿を見るなりちょっと不機嫌になった
「サプライズだから、呼んだらダメなのに」
森「私じゃないよ。確かに、福沢殿はなぜここに?」
太宰「私が呼んだんですよ森さん。あろうことか貴方に我々の天使が拐かされたと思いまして。勘違いで良かったですよ、ほんと」
目の奥が笑っていない
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作者名:まゆ | 作成日時:2024年2月9日 21時