百十七話 ページ17
福沢「賢治。Aを知らないか」
賢治「それならさっき、何かを読んだあと、よし!って意気込みながら出て行きましたよ」
福沢「何かを読んだあと……?何を読んで、どこに行ったのだ……?」
賢治「そこまでは僕には。絵本じゃなかったみたいですけど」
福沢「(また何か、斜め上の発想をしていなければいいが)」
・
〜森〜
Aちゃんが私に会いに来てくれた
うん。それはね、すっごく嬉しいよ
でもね?
中也くんと手を繋いでるのは普通に腹立たしい
森「えーっと、何で手を繋いでるのかな?」
中也「Aがボスに会いに来たつってたんですけど、迷子になりそうだったんで」
森「あぁ、そう。じゃあもう離していいんじゃないかな。私の元に来てるわけだし」
私でさえ手を繋いだことがないというのに、よりによって部下に先を越されるなんて
森「私に何のご用かな?」
「服買う。お店、教えて」
やっぱり女の子だなぁ
可愛いお洋服ってなると、フリルのスカートとかリボンの付いた物だよね
「これ欲しい。どこに売ってる」
森「……え?これ?……え?」
「しゃちょ、これ好き。だから着る」
森「……………………!!?」
中也「嘘だろ。堅物そうに見えて、そういう趣味か」
「これね。鏡花着てて、でも、しゃちょ見れなかったから、見せてあげる」
発想が斜め上、というか異次元
Aちゃんが提示したのは、某漫画四巻、1ページ目から10ページ目にかけてのシーン
そこに描かれる彼は、メイド服が好きだとも、見られなくて残念だとも言っていない
一体、何をもってして福沢殿がメイド服が好きだと思ったのか
森「うん。買いに行こうか」
こんな真剣な目をされると協力せざるを得ない
「地図描いてくれたら大丈夫」
森「そのお店はね。子供だけでは入れないんだよ」
中也「メイド服で子供が入れない。ボス、まさかその店……」
森「断じて違う。Aちゃんが私を頼って来てくれたのに、このままお別れするなんて寂しいし、手を繋いで歩きたいだけだよ」
中也「あ……はい。かなり饒舌ですねボス。護衛はどうします」
森「Aちゃんと二人で、行くからいらないよ」
中也「そう、ですか」
森「さ、Aちゃん。お待たせ。行こうか。迷子になるといけないからお手手繋ごうね」
Aちゃんは無言で瞬きせずに見てくる
私には触れられたくないということだろうか
少し、いや、かなり凹む
93人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まゆ | 作成日時:2024年2月9日 21時