百十一話 ページ11
〜福沢〜
約束をした
和田医師に勝ちを譲ると
そのためにAと歩いていた
和田「酷いですよ福沢さん。勝たせてくれると言ってくれたのに……」
膝を付き顔を手で覆いながら泣く
福沢「それに関しては申し訳ないと思っています」
勝たせなくてはならなかった
分かっている。分かって……いたのだが
医師『私達はもう揃いましたよ。ではではお先に失礼します。福沢さんはどうぞごゆっくり、最後のスタンプをゲットして下さい』
なんてことを言われ、Aを抱き上げ、そのまま……
あれしきの
利香「絶対一番って言ってたのにパパ、ダサッ」
時に言葉は凶器となる
医師の胸にはナイフが刺さっていることだろう
何より一番驚いたのはAと医師の娘、利香嬢が知り合いだった
利香「A。もちもちして可愛いー!!」
大人と子供はテンションが違う
頬を弄り回されるAの目は虚無感しかない
利香嬢には悪気や悪意があるわけではないため、やめさせるかは微妙なところ
和田「利香ちゃん。Aちゃん嫌がってるからやめてあげて」
利香「いつもやってるけど、嫌がられたことなんてないよ?」
会う度にやられていたのか
この虚無感しか漂わない目を見ても尚、嫌がっていないという認識
解放されたAは私の腕の中に避難を求める
「利香。パパ、カッコ良い言ってた」
頬を弄られた仕返しではない
和田医師が娘に嫌われていると聞いて、Aの中で矛盾が生じたから確認の意味も込めて口にしただけ
利香「言ってないもん!そんなこと」
「お仕事してるパパ、カッコ良い、言ってたよ」
言っていたのは本当だろう
図星なのか顔が真っ赤
「でも、一番カッコ良いのはしゃちょ。その次が乱歩さん。次が探偵社で……利香のパパはその下ぐらい」
利香「パパはお医者さんで、手術もいっぱいしてて、すごいもん!だからパパが一番!!」
「え、違うよ。しゃちょだよ」
福沢「いや、A。もうその辺でいい」
和田「利香ちゃんも、もう分かったから」
好かれているだけでなく「一番カッコ良い」とまで言われると、喜ぶべきなのだろうが恥ずかしさがある
・
敦「何なんですかあれ」
国木田「Aが社長を好きだって再確認中ではないのか?」
谷崎「あれでは、おめでとうと言いに行ける雰囲気ではありませんね」
乱歩「先に僕が言ってるから安心しなよ」
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作者名:まゆ | 作成日時:2024年2月9日 21時