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無頼派 六 ページ28

「……起きなよ」

そんな声が聞こえてゆっくり目蓋を擦ると太宰が俺を揺らしていた

うん?なんか……

「背、縮んだ?」

「……私はずっと百七十四cmだよ?」

……うん、縮んでんじゃん!?

「司書!司書!大変!太宰がああああ!」

「太宰先生、なんとなく察してます!」

そう言って司書が困り顔で俺と太宰を見る

「えっと、太宰さん、自分の年齢はわかりますか?」

「十八だけど?」

「若くなってる……」

「……何?ずっとこの年のはずだけど?」

「……中島敦って知ってるか?」

「誰?」

中島敦も忘れてる……

「俺のことは覚えてんの?」

「ああ、勿論だけど?というか……織田作と安吾は何処?」

その口調からオダサクと安吾の事ではないと判った

太宰の言う二人は、違う二人……

完全に忘れているんだ

俺は司書を見ると司書は少し頭を抱え

「……昨日、ボスのところまでもう少しでした。頑張っていきましょう?」

「そうだな、早く浄化させないと太宰が危ない」

そう言えば太宰はキョトンとした顔をする

本当に、忘れてる

「……今日は一緒に行くか?それとも留守?」

「行くよ」

そう言って太宰は頷きながら

「絶対に中也と一緒にしないでよ?」

と言ってまだ寝巻きのままだったので服を着替えに行く

「……なんとかするよ。大丈夫だ」

そう言えば司書も不安げに頷く

「どうか……私も出来る限り協力します」

そう言って司書は会派を組み始めた

「今日は多めにしましょう」

太宰の混乱が起きないようにあっちの世界の芥川さんと中也クン、昨日きたらしい尾崎紅葉と俺達無頼派

そして太宰

早く元通りにしてやらないと

そう思いながら心の何処かで違う恐怖が俺を離さなかった









__________それは僕の一生の中でも

最も恐ろしい経験だった。

僕はこの先を書きつづける持ってゐない。

かう云う気もちの中に生きてゐるのは

何とも言はれない苦痛である

誰か僕の眠ってゐるうちにそっと

締め殺してくれるものはないか?

芥川龍之介 『歯車』より

人間失格 一→←三章 二節



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杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時

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