13・地下牢の会話/似た者同士 ページ14
不本意ながら、彼女はすっかり機嫌を損ねてしまったようだ。地下牢の階段脇の壁に凭れ掛かり、腕を組んでそっぽを向いている。
しかしそれはまるで、拗ねた子供や猫のようで。即座に撃ち殺される可能性も忘れて笑いが込み上げてくる。当然、彼女はますます機嫌を損ねて憤慨したが。
「ふん、あなたの虚勢もどうせ後数日よ。せいぜいお仲間の死亡報告を心待ちにしていると良いわ」
完全に舐められていると感じたのか、優雅な動作で肩に掛かった髪を払い除け、勝ち誇った表情を浮かべられる。
しかし彼女には悪いが、私的には今の台詞が一番ツボだった。
「ぷっ、……くく、あははははは!!!」
「えっ、え、えっ?……な!?」
私が観念するとでも思っていたのか、突然笑い出した私に挙動不審になる彼女。短い沈黙の後に、その顔が火が着いたように赤く染め上げられる。
何故私が笑っているのか解らない彼女はだんだん、と床を踏み鳴らして髪の毛を逆立てた。台詞は同じでも、その後に取る態度は真逆らしい。
まさか君まで、彼と同じことを云うとは。
「今の台詞、つい先刻、芥川君も云っていたよ。まさかここまで似た者同士とはね」
目尻に浮いた涙を拭おうにも、手首が繋がれていることを思い出す。仕方なく目を瞬いてある程度涙を落とすと、霞んだ視界にぽかんとしている彼女を映した。
「は、あいつ、が……は?」
「ふふふ、君と同じことを云って殴って去って行ったよ。いつの間にやらあんな乱暴な子に」
「間違いなく貴方が育て方を誤ったんですよ」
やれやれと首を傾げていれば、途端に真顔になって心外な言葉を紡がれる。少し可愛げがなさすぎやしないだろうか。
……ここに来てから数時間。ふと思考が本来の目的に戻される。
「Aちゃん、そろそろ行き給え」
「は?」
「早く早く」
意味が解らない、とでも云いたげな顔をしている彼女を急かす。
「早くしないと私の天敵の……」
云い掛けた処で。
「よォ、太宰。相変わらず悪企みかァ?」
……ちょっと、誰かこいつ撃ち殺してあげてくんない。
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まかろん - いつになったら続きだすんですか? (2022年3月3日 18時) (レス) @page38 id: e90d3fb299 (このIDを非表示/違反報告)
村越 - 続き……続きが読みたいです!待ってます!! (2018年12月31日 1時) (レス) id: 221d19ed47 (このIDを非表示/違反報告)
なをりん - 茉莉(まつり)さん» ありがとうございます!私の書く文章から、そう云った感想を頂けるのは正に感無量です。伝えたいことをちゃんと拾って下さっているんだな、と思います。滞り気味ですが……どうか最後まで御贔屓ください! (2018年7月24日 23時) (レス) id: 1a2989d09e (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(まつり) - 何か無償に泣ける…更新がんばってください、楽しみにしてます…! (2018年7月21日 10時) (レス) id: 5299f2ee2b (このIDを非表示/違反報告)
なをりん - デミオムさん» コメントありがとうございます!私は今年受験生なのですが、そんな温かいコメントにいつも遣る気を分けて頂いています!この作品もあと少しで完結です!最後まで御贔屓ください! (2018年5月21日 21時) (レス) id: 1a2989d09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なをりん | 作成日時:2017年7月12日 18時